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秘密部屋

秘密 「疑惑」 2

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 「兄ちゃん待って。克洋兄ちゃん、待ってよぉ~。」

 「ハハハ・・・洋介、早く来いよ。」

 洋介は屈託のない笑顔で振り返った克洋の差し伸べた手を

 捕まえた。菜の花畑のあぜ道を二人で手を繋いで走っていく。

 五月晴れの空は何処までも青く、遠くに見える山々は

 都会では味わえない安らぎと癒しをもたらしていた。

 祖母の家に里帰りをすると決まって従兄の克洋に会えた。

 克洋は洋介が物心つく前からいつも遊んでくれた。

 ベビーシッターとは違い本当の友達のように遊んでくれる

 克洋が洋介は好きだった。蝶を捕まえにお花畑を走った

 幼い頃の記憶が夢に蘇る。洋介は死んだ克洋の夢を見ながら

 これは夢なのだとなぜだか思った。

 暖かな陽ざしを浴びて駆けまわる二人だけの幸せな空間は

 そう長くは続かない。いつの間にか克洋は大人になっていた。

 克洋は洋介の手を放して、美しい青年の元へ駆け寄った。

 「紹介するよ。薪剛。俺の親友だ。」

 悪びれもせず紹介する克洋に洋介は腹が立った。兄ちゃんの

 親友はこの僕だ。あんな女みたいな顔の奴なんかじゃない。

 僕に黙って親友を作るなんて許せない。洋介が怒っていると

 二人は立ち去ってしまった。

 「待って。兄ちゃん、待ってよぉ~。」

 置き去りにされて泣きそうな声で洋介が叫ぶと、克洋は

 「ハハハハ・・・・」

 と高笑いして薪の肩を抱き、いなくなってしまった。

 独り残された洋介は悔しくて泣いた。そして大泣きしていると

 夢から覚めた。

 ピピピピピ・・・・目覚まし時計の音がうるさい。

 佐伯洋介は目覚まし時計を止めると、のそのそとベッドから

 起き出した。また、あの嫌な夢を見た。幾度となく見る夢に

 佐伯はうんざりしていた。日本に帰って来てからは世田谷の

 邸宅を一軒もらって独り暮らしをしている。洗面台に向かい、

 顔を洗おうとしたが、口元に水がしみて痛かった。鏡には

 口の端が切れてあざをつくった自分が映っていた。

 「くそっ。あいつ許せない。」

 昨日、青木に殴られた口元を押さえて佐伯は鏡を睨みつけた。

                             

 月曜日 AM6:50

 公園のトイレで被害者の少年の手足が発見される。

 「ジョギングをしていた中年男性が公衆トイレに立ち寄った

 際にトイレの個室の洋式便器に切断された手足が4本投げ

 込まれているのを発見、警察に通報。ただちにその手足を

 鑑識にまわした結果、手足を切断されて殺害された少年の

 ものと判明。少年の遺体はすでに土曜日の朝、多摩川下流

 で発見されており、犯人は手足を冷蔵庫などで2日間保冷

 した状態で持っていたと推測される。なぜトイレに捨てた

 のかは不明だが、この連続殺人事件の3人目の被害者のみ

 1人目2人目の被害者と違う方法で死体遺棄されている。

 ここまでで何か質問は?」

 薪室長が淡々と説明する捜査会議を第九のメンバーは

 真剣な表情で聞いていた。青木も真面目に聞いていたが、

 つい寝不足であくびが隠せなかった。あくびをした途端、

 薪に睨まれた。しまったぁ。また怒られることをしてしまった

 と青木は思った。昨日4回はやりすぎた。薪さんのマンション

 で床に押し倒して1回。お風呂に一緒に入って1回した後、

 ベッドに連れて行って2回。しばらくしてなかったから昨日は

 つい4回もしてしまった。喧嘩えっちって燃えるんだなぁって

 思ったけど、翌朝、眠くて腰が痛くて大変だった。薪さんは

 腰がぬけるほどやったのに随分と平気な顔してるなぁ。

 さすが薪さん。一生この人について行こう。青木はニヤつく

 のを堪えながら必死に真剣な表情を作っていた。

                          

 「犯人の手口が急に変わったのはなぜですか?」

 小池が質問した。薪は書類に軽く目を通してから質問に答えた。

 「わからない。しかし、犯人はこの2週間で3人の少年を殺害

 しており、だんだん犯行が猟奇的にエスカレートしていると考え

 られる。1人目の被害者は特に目立った外傷もなく、公園の池

 で水死体として発見。死因は絞殺によるものである。被害者の

 年齢は14歳。JR吉祥寺駅前にある塾の帰り道で突然後ろから

 殴られて気を失い拉致される。死亡推定時刻までのおよそ4時

 間目隠しをされており、MRI捜査で犯人を確認できなかった。

 また、少年はいつも自転車で塾に通っていたが、その日は雨

 だったため、公園沿いの道を1人で歩いていた。事件当初は

 顔見知りの犯行ではないかと地元周辺を警察が捜査していたが

 手がかりがつかめず、2人目の被害者の遺体が多摩川上流で

 発見されてから第九にMRI捜査が依頼された。1人目の被害者

 及び武蔵小金井駅付近で拉致された2人目の被害者16歳と

 京王多摩川駅付近で拉致された3人目の被害者13歳との接点

 はいずれもない。この事件で共通して言えることは塾の帰りを

 狙った犯行で駅から徒歩10分から20分離れた人けのない場所

 を1人で歩いているところを後ろから鈍器で殴られ車に乗せられ

 拉致されている。おそらく犯人は駅周辺で好みの少年を物色し、

 気付かれないように自宅まで後をつけ、襲い易い場所を下調べ

 した上で計画的に拉致しているものと考えられる。」

 「犯人が何ヶ月も前から連続殺人の計画を立てていたとなると

 この先も第4、第5の被害者が現れる可能性が強いですね。」

 佐伯が手をあげて発言した。しかし薪はこう答えた。

 「1人目の被害者はいつもは自転車で塾に通っていたことから

 偶発的な犯行と考えられる。まぁ、雨が降るのを気長に待って

 襲ったという可能性もないとは言い切れないが・・・後の二人は

 電車で塾に通っていた為、いつも決まった時間に人けのない道

 を1人で歩いていた。下調べに何ヶ月もかけなくても1回後を

 つければ次の塾の帰り時刻に待ち伏せすることは可能だ。駅も

 繁華街は避け大きな公園などが近くにある駅を地図で探せば

 地の利に詳しくなくても数日間の下調べで犯行に及ぶことが

 できる。つまり、犯人は捕まるまで永遠に少年を襲い続ける

 可能性があるということだ。」
                        


 気を失っていた16歳の少年が頭から水を浴びせられて目を

 覚ました。少年が最初に見たものは仮面をつけた裸の男だった。

 少年は自分がビニール製の紐で縛られていることに気付いた。

 手は後ろ手にきつく縛られ、胸や首、そして太ももまでも縛ら

 れていた。ちょうど正座させられた格好で足首を縛った紐が

 後ろで縛られた手首を通って少年の首の後ろで結ばれている。

 バスルームの鏡に全身がよく映るように少年は座らされていた。

 何か叫ぼうとしても口に猿轡を咬まされていて低い呻き声しか

 出せない。

 「まだ眠いかい?クロロホルムって奴はよく効くな。」

 少年の頭からは血が流れていた。一滴の血が目に入り少年は

 混乱したように頭を振った。

 「痛いかい?かなづちで殴ったから頭が少し割れちゃったね。

 でも気を失ってすぐクロロホルムを嗅がせたから痛みはさほど

 でもないだろう?これから味わう苦痛に比べたらさ。」

 仮面の男はナイフを取り出し、少年の太ももを撫でるように

 ナイフで切った。そして少年を押し倒し、足を左右に開いて

 いきなり挿入した。レイプされた少年は錯乱したように呻いて

 いる。

 「薪さん、薪さん、大変です。佐伯がまた吐きました。」

 MRI捜査の最中に小池がゲロを吐いてる佐伯を指差して言った。

 薪は目を細めて

 「外に連れ出せ。」

 と言った。

 「小池、早くしろよ。臭いなぁ。ぞうきん、ぞうきん、誰か床を

 掃除してくれ。」

 岡部が第九の皆を動かした。

 「MRI、一時中断しますか?」

 青木が薪に聞いた。すると、薪はこう言った。

 「かまわん、続けろ。」

                           

 このシーンを全員で見るのは2回目だった。犯人が仮面をつけて

 いる限り殺害された少年の脳を何回見ても顔は分からない。

 拉致現場で一瞬少年が意識を失う寸前に写っていた映像も何回

 も繰り返して見たが犯人は帽子を深くかぶりサングラスをかけ

 花粉症用の大きなマスクをつけていて顔は分からなかった。また

 革製の手袋をしていることから指紋も見つけにくいと思われる。

 犯人の顔さえ分かったら身元さえつきとめたら、殺害現場である

 犯人の自宅を家宅捜索すれば事件は解決するのに身体の特徴

 だけでは捕まえられない。青木は食い入るように画像を見ている

 薪に疑問を持った。まさか薪さんはこういう筋肉質な男が好みの

 タイプとか・・・贅肉なんかどこにもない鍛え上げられた肉体美。

 背は高く足はモデル並みに長い。これだけスタイルが良かったら

 モテルと思うけど、なぜ少年を襲うかなぁ。あ、でも、顔は不細工

 だったりして・・・それとも顔に傷がある男とか。コンプレックス

 を持った人間ほど自分より弱者を狙う傾向がある。今回のように

 少年ばかりを襲っている犯人は何らかのコンプレックスを抱え、

 極度なストレスによる精神異常者のケースも多い。

 「青木、犯人の身体の特徴を調べろ。ホクロの数と位置まで

 正確に調べるんだ。」

 「はい。わかりました。」

 ホクロは右肩に一つ。左の腰骨の上に一つ。・・・

 こんなことして何になるんだろう。犯人が裸で町を歩いていない

 限り、ホクロなんて何の証拠にもならないのに・・・薪さんの

 考えていることが分からない。

 「腕にもあるぞ。見落とすな。」

 青木は薪に叱られた。薪は真剣に男の裸を観察している。

 ホクロの数を数えている間に行為は終わった。犯人はシャワー

 で少年の身体を洗い流し、体液が残らないようにしている。

 頭が良いのかもしれない。鑑識で何も出ないように細工して

 いるのだ。仮面もMRI捜査を想定してつけているのだと思う。

 青木は犯人が恐ろしくなった。犯人はナイフで少年を切り裂き、

 腹から血を流して泣いている少年に向かって笑いながら何か

 ブツブツ独り言のようにつぶやいている。何を言っているのか

 読唇術で解れば良いのだが、はっきりと口を開かないので

 読み取れない。青木は何を言っているのか何度も考えた末、

 犯人の唇のわずかな動きを真似て実際に発音してみた。

 「ハハハ・・・に・・・さ・・・ハハハ・・・に、兄さん。」

 薪の顔色が変わった。

 「兄さん、兄さん、と犯人は繰り返し言っています。」

 と、青木は薪に報告した。

                           

 翌日、佐伯が薪に辞表を提出した。

 「佐伯、この辞表は受け取れない。もう少し第九で頑張れないか?

 アメリカから帰国して第九に転属願いを出したのはお前だろ?」

 「はい。でも、いろいろと考えた末アメリカに帰ることにしました。」

 「佐伯、この前の事を気にしているのなら、気にしなくていい。

 今夜また二人だけで会えないか?」

 薪がずるそうに微笑んだ。そして、佐伯の唇の端にそっと優しく

 指先で触れて、囁くように聞いた。

 「まだ、痛いか?」

 佐伯は薪の行動に困惑したように目を伏せてこう言った。

 「青木さんに叱られますよ。」

 「青木とはそんなんじゃないんだ。」

 薪は上目遣いで佐伯を見つめた。誰もがハッと息を呑むような

 その妖艶さに思わず佐伯の喉が鳴った。ゴクリと生唾を

 飲み込む音が青木まで聞こえてくるようだった。

 「お金持ちのお坊ちゃんは良いよな。」

 小池が青木に耳打ちした。

 「あいつ1年間の研修期間を3週間に変えてもらってアメリカの

 FBIに戻るんだってさ。財閥の御曹司は上層部にも顔が利くから

 やりたい放題だな。日本に帰国してすぐに配属された部署を

 たった2週間で転属願い出して第九に来たのに、1週間も持た

 ないなんて。薪さんも引き止めることないのに。なんであいつ

 だけに優しいのかな。」

 小池は本当に疑問に思っているようだった。だが、青木は

 「そんなんじゃない」という薪の言葉にショックを受けて小池の

 言葉があまり耳に入らなかった。以前、俺が岡部さんとの仲を

 疑った時にも「そんなんじゃない」って言ったぞ。俺との仲が

 「そんなんじゃない」ってどういうことだ?青木の頭の中でまた

 薪への疑惑が浮上した。

                          

 その夜、薪は佐伯の家にいた。フランス料理を食べに行こうと

 言った佐伯に薪は家に行きたいと言ったのだった。佐伯は世田谷

 の邸宅に独りで住んでいる。古い洋館を思わせるアンティーク

 な家具。豪華なシャンデリア。絵画や壷などの調度品。この館は

 総てにおいて洗練されていた。

 「この家は古いのでお恥ずかしいのですが、亡くなった祖父の

 ものを譲り受けたのです。」

 「随分ときれいにしているな。住み込みのメイドでもいるのか?」

 「いいえ。月水金の週3日ヘルパーさんに来てもらっています。」

 「ふ~ん。じゃ、夜は独りか。夕食とかどうしている?」

 「外食ばっかりです。だからレストランを予約するって言ったのに

 せっかく薪さんが来てくれても冷蔵庫の中は空っぽで何も入って

 いませんよ。あ、そうそう、キャビアがあったかな。それから、

 お酒はドンペリで良いですか?」

 「フッ。あるじゃないか。」

 薪はニヤリと笑った。そして、チェストなどの家具を眺めながら

 こう言った。

 「素敵なアンティークだ。僕もアンティークに興味があってね。

 他の部屋も見せてもらえるかな。」

 「いいですよ。2階の寝室をご案内しましょうか?ベッドもキング

 サイズのアンティークですよ。」

 「それは楽しみだ。」

 「薪さん、寝室は階段を上がってすぐの部屋です。俺はシャンパン

 をとってきますから。先に行ってて下さい。」

 「わかった。」

 薪は微笑むとリビングを出た。階段は吹き抜けになっていて

 玄関ホールから美しい曲線を描いて2階へと続いていた。

 20世紀初頭の典型的な造りの洋館だ。おそらく佐伯の祖父が

 アンティークに凝っていて21世紀にそれらしく造らせたのだ

 ろう。薪は階段を上りながら考えた。バスルームはどこだろう。

 2階に上がると部屋がいくつもあった。寝室はすぐに分かったが

 他の部屋も見たくなって隣の扉を開けてみた。納戸だった。部屋

 の中に入ると右側の壁にもう一つ扉があり、巨大なベッドが置か

 れている寝室につながっていた。ここはウォークインクローゼット

 だった。青木の部屋より大きいと薪は思った。薪は無造作に

 積まれている衣装ケースや箱のふたを開けて中を覗いてみた。

 何個目かの箱を開けると、中に仮面が入っていた。連続殺人

 事件の犯人がつけている仮面と同じものだった。その時、佐伯が

 ドンペリを片手にウォークインクローゼットの扉を開けた。

 「何をしてるんです?」

 薪はとっさに何か言おうとしたが、黙ってしまった。佐伯はニコニコ

 笑いながら薪に近づき、いきなりドンペリで薪の頭を殴った。

 薪はドンペリの瓶が砕け散る音を聞きながら気を失った。

                           

 目が覚めると薪はベッドに縛りつけられていた。ビニール製の

 紐で両手首をきつく縛られ、ベッドの柱にくくられていた。

 足首も紐で縛られて左右に大きく開かされていた。薪は

 ぎょっとした。佐伯が仮面をつけていたのだ。薪のワイシャツを

 ナイフで切り裂き、首にナイフを押し当てた。

 「声を出すなよ。いい子にしてな。フフフ・・・たっぷりと

 可愛がってやる。」

 佐伯はナイフでズボンを切り裂き、下着までも剥ぎ取った。

 「や、やめろ。」

 薪は手足を縛られているため弱々しく抵抗したが、

 「うるさい!黙れ!」

 と、佐伯に顔を殴られてしまった。薪の美しい鼻から一筋の血

 が流れた。鼻血を見て興奮した佐伯は薪の下半身を掴んで

 足を抱え上げ、指を入れた。佐伯はローションもなしで、

 1本2本3本と指を増やしていく。

 「う、ううっ。い、痛い。」

 「何が痛いだって?感じてるくせに。この淫乱。」

 佐伯は痛がる薪を罵りながら3本の指をおもいっきり動かした。

 「ひっ、ああ~、ああああ~」

 薪は悲鳴を上げた。

 「大げさに騒ぐなぁ。4本入れたらどうなるかな。あれ?

 入らない。淫乱のくせに狭すぎないか?」

 佐伯はそう言いながら指を無理やり入れた。薪はメリメリと

 裂ける感覚に恐怖を覚えた。血が滲み溢れるのを見て、

 佐伯は指を4本一気に引き抜いた。薪の尻から血が流れた。

 更に興奮した佐伯は何かにとり憑かれたように薪の首を舐め

 上げてこう言った。

 「愛しいよ。愛しいよ。愛してる。」

 「貝沼?」

 薪の表情がこわばった。

 「佐伯、貝沼の脳を・・・いや、鈴木の脳を見たのか?」

                         

 狂気は人から人へと伝染するという。脳を見る者は感情移入

 しないようによほど気をつけない限り、狂気は見た者へと

 受け継がれる。佐伯は鈴木を経て貝沼の狂気にとり憑かれた

 のだった。佐伯は薪にこう答えた。

 「兄さんの脳を見たよ。日本に着いてすぐ・・・兄さんが死んだ

 のは事故なんかじゃなかった。あんたが殺したんだ。俺は兄さん

 が好きだった。俺は小さい頃から勉強勉強でちっとも遊ばせて

 もらえなかったから、本当の友達なんかできなかった。だから、

 従兄の克洋兄さんだけが親友だった。それなのに、あんたが

 大事な兄さんを奪ったんだ。大好きだったのに・・・」

 佐伯は泣いていた。そして、泣きながら薪の首を絞めた。

 「この人殺し!兄さんを返せ!返せ!」

 佐伯は薪の喉を潰すようにグッと指先に力をこめた。このまま

 殺されるかもしれないと薪が思った時、寝室の扉が開いた。

 「そこまでだ。」

 銃をかまえた青木が立っていた。

 「手をあげろ。ゆっくり手を放してベッドから降りるんだ。」

 佐伯はゆっくりと振り返ると両手をあげてベッドから降りた。

 「そのまま床に伏せろ。逮捕する。」

 青木が手錠を取り出そうとした時、佐伯がベッドに転がっていた

 ナイフを拾って青木を刺そうとした。だが間一髪のところで避け、

 青木は佐伯の腕を脇に挟んでナイフを叩き落とした。そして、

 腕を後ろにねじ上げて佐伯に手錠をかけた。佐伯は手錠をかけ

 られるとガクンと頭をたれ、急に大人しくなった。やっと観念した

 かのように見えたが、次の瞬間、突然目を見開きわめき出した。

 「俺は悪くない!全部この悪魔が悪いんだ!兄さんを殺した

 悪魔め!呪ってやる!」

 佐伯は薪に呪いの言葉を浴びせた。青木は驚いて佐伯の頭を

 後ろから殴った。佐伯が床に倒れこんでも何度も何度も拳を

 叩きつけた。

 「やめろ!青木。それ以上殴ると死ぬぞ。」

 薪が青木を止めた。佐伯は血を流して気を失っていた。

 やっと我に返った青木は縛られている薪のもとへ駆け寄り、

 手足の紐をほどいた。

 「遅いぞ。」

 薪がいつもの冷ややかな口調で言った。

 「すみません。」

 青木は薪に謝った。そして、自分の背広を脱ぎ、あられもない

 姿でベッドに座っている薪の肩にかけた。

 「すみません。もっと早く踏み込んでいたら、こんなことには・・・」

 青木は血のついたシーツを見つめながら泣きそうな顔をした。

 「ばか。お前のせいじゃない。」

 「薪さん。」

 青木は薪を抱きしめた。パトカーのサイレンが窓の外から聞こ

 える。今頃、手配していた警察の応援がかけつけたのだった。

 薪みずからのおとり捜査により事件は解決した。

                        

 嫌な事件だったと青木は思った。佐伯は逮捕起訴されたが

 警察病院に入院している。精神鑑定の結果、精神病棟に隔離

 されたのだった。

 「薪さん、犯人が佐伯だって何故わかったんですか?」

 青木が薪に質問した。

 「唇の形が同じだった。」

 仮面の下にわずかに見える唇だけでわかるなんてさすが薪さん。

 と青木は思った。しかも佐伯の唇は厚からず薄からずいたって

 普通の特徴のない唇だった。

 「それに身長187cmのモデル体型の人間は世の中に少ない。

 事件が発生したのも佐伯が帰国した数日後だ。佐伯は東京

 在住で地の利に詳しい。だが動機が最後まで謎だった。真面目

 で優秀な女にモテる奴がなぜ少年を襲うのか解らなかった。

 佐伯は鈴木の脳を密かに見て、貝沼の狂気が伝染したんだ。

 だから鈴木に顔や雰囲気が似た少年ばかりを襲った。僕は佐伯

 のことをノーマルだと思っていたから、飲みに行った帰りにキス

 された時には正直言って驚いたよ。でも同時に犯人だと確信が

 持てたから本人には気付かれないよう極秘に捜査した。」

 「敵を欺くにはまず味方からってやつですか。俺は本気で心配

 しましたよ。岡部さんから薪さんが佐伯の自宅のバスルームを

 確認してくる。いつでも踏み込めるように待機しておけ。と言われ

 たと聞いて、いてもたってもいられなくなりました。もし踏み込む

 のが後少しでも遅かったら殺されていたかもしれないんですよ。」

 「それはない。僕の上着のポケットに仕込んだ盗聴器が1時間

 途絶えたら合図しなくても踏み込むよう岡部に支持してあった。

 佐伯はいつも獲物を3、4時間かけてじっくりと料理する。最初の

 1時間はただレイプするだけで致命傷は負わされない。」

 「また、そんなこと言って・・・俺以外の奴にはもうやらせないって

 約束したのに忘れたんですか?」

 「・・・忘れてた。」

 青木は呆れてものも言えなかった。ただ、マンションのベッドの

 上で裸で寝ている恋人の顔を黙って見つめていた。

 「もう一回したいのか?」

 「薪さん。」

 「冗談だ。」

 薪はクスっと笑った。青木は何を考えているのかさっぱり

 わからない年上の恋人の危うい性質に翻弄されながらも

 自分が守ってあげないとこの人はダメになると思った。また

 口に出して言うと自意識過剰だと叱られるので黙っていたが、

 言葉で想いを伝える代わりに薪を抱きしめた。

 「やっぱりしたいのか?」

 薪は青木の背中に腕をまわして言った。青木は薪に口づけをして

 無言で薪の身体を弄った。言葉よりも深い愛を薪に伝えたい。

 薪の望む形で・・・身体を繋ぐことで伝えられるのならいくらでも

 身体を繋ごう。二人には時間がたっぷりとあるのだから。

 青木は薪を愛情で包み込むために抱いた。

                              (完)



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