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 ←オリジナルBL小説「落日」(第3部) →オリジナルBL小説「落日」(第1部)
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オリジナルBL小説「落日」部屋

オリジナルBL小説「落日」(第2部)

 ←オリジナルBL小説「落日」(第3部) →オリジナルBL小説「落日」(第1部)



 先生と別れた数日後、僕は学校帰りに加藤君に誘われて、

 伊藤君と一緒に加藤君家に遊びに行った。加藤君家は

 豪邸だった。およそ百坪の土地を囲む高さ三メートルの

 外壁に守られた要塞のような3階建ての家だった。庭には

 獰猛そうな犬が2匹いた。

 「今日はみんな出かけてて、誰も家にいないんだ。」

 と加藤君は言って、玄関の鍵を開けた。玄関には高そうな

 壺に花が活けてあった。廊下にも高そうな絵が飾られていて、

 吹き抜けの螺旋階段を上って2階に行くと、長い廊下の両端に

 いくつものドアが見えた。

 「すっごいね。この家、全部で何部屋あるの?」

 「10部屋くらいかな。3階は事務所と倉庫になってるんだ。」

 「事務所?!」

 「事務所って言っても、組の看板掲げてる事務所は駅前の

 繁華街のビルにあるから。家を建て直す時に10LDK+

 事務所って設計にしたらしいんだけど、実際には組員が

 自宅に出入りするのをおふくろが嫌がって、使ってないんだ。」

 「へぇ~。」

 僕は加藤君が別世界の住人のような気がした。

 加藤君の部屋も別世界だった。壁一面の棚にプラモデルと

 ゲームソフトが並べてあって、ゲーム機が5台置いてあった。

 テレビ、ステレオ、ガラスのテーブル、学習机、ベッドと

 ウォークインクローゼットのある広い子供部屋だった。

 「すげぇ。想像以上の金持ちだぁ。」

 伊藤君も初めて加藤君の部屋に入ったのか、驚きの声を

 あげた。伊藤君の家は2DKのボロアパートだから、自分の

 部屋が伊藤君はなかった。小学校1、2年の頃は何度も

 遊びに行ったから知ってるけど、お母さんと二人暮らしだった。

 お父さんと離婚してから看護士のお母さんが一人で育てて

 くれているらしい。今でもお母さんと一緒に寝てるのかなって

 僕はふと思った。

 「まあ、座れよ。ゲームでもやるか?あ、そうだ。飲み物と

 食べ物とってくるから、ちょっと待ってろ。」

 と加藤君が言った。僕と伊藤君は部屋に二人きりになった。

 僕は少しドキドキした。先生にフラれたばかりだっていうのに

 不謹慎な気もするけど、僕は伊藤君の事が好きだった。

 初恋の人って言うのかな。小学校入学に合わせて引っ越して

 きた僕は知っている子が誰もいなくて不安だった。そんな

 僕に伊藤君は笑顔で話しかけてきてくれた。僕達はすぐに

 仲良くなって、毎日、学校から帰ると、家の近所の神社で

 よく遊んでた。あの忌まわしい神社は僕の家から徒歩2分。

 忘れたくても忘れられないほど近い。あの日、伊藤君に遊ぶ

 約束をすっぽかされたことを今でも僕は根に持っている。

 でも、それとこれとは話が別で、やっぱり僕は伊藤君が

 好きだ。何を話そう。緊張すると僕は何も喋れなくなる。

 「お待たせ。いいもの持ってきたぜ。」

 会話する暇もなく、加藤君があっという間に戻ってきた。

                       
 
 「ビール飲むか?」

 加藤君が持ってきたのはお酒だった。僕はお酒なんか

 飲んだことなかった。

 「遠慮しとくよ。」

 僕はお酒を断った。加藤君は少し残念そうな顔をしたけど、

 すぐにニヤッと笑って

 「伊藤は飲むだろ?」

 と聞いた。しかし、伊藤君はきっぱりと言った。

 「飲まないよ。俺、酒なんて飲んだことねぇし・・・

 加藤家は酒飲んでいいのか?」

 「いいってことないけどさ・・・ビールの2、3本消えたって

 誰も気付かないからな。たまに隠れて飲んでるんだ。」

 「へぇ。」

 「みんな飲まないなら、俺一人で飲む。」

 加藤君はちょっとムッとした顔をして、缶ビールを開けた。

 加藤君がビールを飲むのを僕らはじっと見ていた。

 「やっぱり麻里緒も飲め!」

 と加藤君は言って、僕に無理やり飲ませた。

 「へへ・・・間接キスだ。」

 加藤君は酔っぱらっているのか嬉しそうに笑った。

 「麻里緒。キスってしたことある?あるよな。」

 加藤君が僕の顔を覗き込んで聞いてきた。僕が返答に

 困って、黙っていると、加藤君が僕にキスしてきた。一瞬、

 唇に触れただけのキスだったけど、僕はびっくりして逃げた。

 「な、何するんだよ!」

 「俺、麻里緒のことが好きなんだ。だから、キスさせろよ。」

 加藤君が僕を床に押し倒した。僕はジタバタ抵抗して

 「嫌だ!」

 と言ったけど、加藤君の力に敵うわけもなく、唇を奪われた。

 がむしゃらに唇を押し当てる加藤君のせいで息苦しくなって、

 何か言おうと口を開いたら、加藤君の舌が僕の口の中に

 入って来た。僕の舌に加藤君は舌を絡ませて、吸ったり

 舐めたりした。襲われると思って、僕が泣きそうになると、

 加藤君は唇を離してくれた。加藤君は僕から離れると、

 「へへ・・・キス。どうだった?俺、上手いだろ?」

 と満足そうに言った。加藤君は先生よりもキスが下手だった。

 僕が黙っていると、加藤君は

 「もし、伊藤と俺とどっちかと付き合うなら、どっちを選ぶ?

 麻里緒が決めろよ。」

 と言った。僕は伊藤君が好きだから、伊藤君のほうを見ると、

 「伊藤ともキスしてみるか?」

 と加藤君は言った。

                       

 「嫌だよ。俺。ファーストキスは大事にとっときたいんだ。」

 伊藤君は真顔で断った。

 「何ロマンチストなこと言ってんだよ。俺なんか小6で

 キスは済ませたぜ。伊藤もこの前、キスしてみたいって

 言ってたじゃんかよ。麻里緒とキスしてみれば、本当に

 麻里緒が好きかどうか分かんだろ?な?やってみろよ。」

 僕は友達二人が低レベルな坂田たちと同じ童貞だって

 事に気付いた。頭の中はやる事っていったら、キスしか

 思い浮かばないお子様だってことも・・・僕はさっき

 押し倒された時に恐がって損したと思った。

 「分かった。じゃ、キスするよ。」

 伊藤君が少しやけになったように言った。僕の顔に

 緊張した伊藤君の顔が近づいてくる。伊藤君の唇が

 おそるおそる僕の唇に一瞬だけ触れたかと思うと、チュッ

 と音を立てて、離れた。伊藤君はキスした後、ハァっと

 深呼吸をして、真っ赤になった。

 「どうだ?伊藤。ファーストキスの味は?」

 加藤君がからかうように聞いてきた。

 「どうって?よく分からないよ。もう一回してみてもいいか?」

 真っ赤になって聞いてくる伊藤君は可愛かった。僕は

 「いいよ。」

 と言って、伊藤君にキスをした。先生とする時みたいに

 口を開けて、舌を絡ませて、伊藤君の舌をレロレロしながら

 吸い上げた。伊藤君の唇は柔らかくて、とても気持ちが

 良かった。唇を離した時、一筋の唾液が糸を引いて、

 伊藤君の口から垂れた。伊藤君は手で口を拭うと、

 泣きそうな顔をして、こう言った。

 「気持ち悪い。」

 僕はショックだった。好きな子とキスした後に気持ち悪い

 って言われるなんて、思ってもみなかったから、しばらく

 立ち直れないって思うほどショックだった。

 「ハハハ・・・伊藤はお子様だからな。おまえ、エロ本も

 中学になるまで読んだことなかっただろ?この前、

 貸してやったやつもキモイって言ってたろ?」

 加藤君は大笑いした。

 「それを言うな。」

 伊藤君は真っ赤な顔を更に真っ赤にして怒ってしまった。

 伊藤君は中学生になったとたんに言葉遣いが乱暴に

 なったけど、中身は昔のままの純粋な子供だった。

 「俺が麻里緒と付き合うからな。異論はないな。」

 と加藤君が言うと、伊藤君は拗ねたように

 「勝手にしろ!」

 と言った。僕は僕の意思を聞かれずに、加藤君と

 付き合うことになってしまった。
                       


 ゴールデンウィークは加藤君と過ごした。僕は加藤君と二人で

 映画を観たり、カラオケに行ったり、ボーリングをしたりして

 楽しく過ごした。伊藤君も誘ったけど、金がないって断られた。

 加藤君はデート代は男が出すものだって言って、全部奢って

 くれた。僕だって男なのに、加藤君は何故か彼女だって

 僕の事を言う。僕は女の子じゃないのに、加藤君は僕が

 女の子に見えるらしい。加藤君はとても不思議な子だった。

 クラス中から恐れられているのに、僕には優しかった。

 僕は毎日、加藤君とキスをして、腕を組んで、手をつないで、

 穏やかで幸せな日々を過ごした。でも、僕は心のどこかで

 先生に言われた言葉がひっかかっていた。『麻里緒は優しく

 してくれる人なら誰でも良いんだ』って先生に言われた時に

 僕は心の中でそうじゃないって思ったのに、何だか加藤君と

 付き合っている僕は先生に言われた言葉通りで、僕は

 好きでもない加藤君と付き合うことに罪悪を感じていた。

 本当は伊藤君が好きなのに、加藤君と付き合っていて、

 いいのかなって疑問に思っていた。その思いは次第に

 膨らんで行き、やがて、僕は取り返しのつかない選択を

 してしまうことになるのだった。

 「ゴールデンウィークは楽しかったな。明日、おふくろが家に

 いないんだ。学校終わったら、家に来ないか?麻里緒。」

 教室の前の廊下で僕がボーっと窓の外を眺めている時、

 加藤君が言った。

 「いいよ。伊藤君も行くよね?」

 僕が隣にいた伊藤君に聞くと、

 「明日は用事があるんだ。」

 と伊藤君は無表情で言った。

 「何の用事?」

 と僕が聞くと、

 「別に。」

 と伊藤君は俯いて言った。すると、加藤君が

 「あいつ、気を利かせてるつもりなんだぜ。」

 と、照れたように言った。僕はなんとなく加藤君が考えている

 事が分かった。明日、するつもりなんだと思った。付き合い

 始めて2週間。そろそろかなって僕も思ってた。でも、加藤君

 とはしたくなかった。僕も用事があるって嘘をついて断りたく

 なったけど、最初に行くって返事しちゃったから、行くしかない

 のかなって思った。その時だった。

 「よぉ!太一!」

 後ろから声がして、振り向くと、背が高くて、カッコイイ2年生の

 先輩が立っていた。

 「常磐先輩だ。」

 伊藤君は小声で僕に言ったかと思うと、90度のお辞儀をした。

 僕も慌てて伊藤君の真似をして、お辞儀をした。しかし、

 加藤君はお辞儀もせずに

 「貴博君!」

 と笑顔で寄って行った。加藤君は学校で一番恐れられている

 常磐先輩のことを貴博君と呼んでいた。常磐先輩は

 関東青龍会常磐組の組長の息子だった。

 「明日、金曜日だろ?俺んちに泊まりに来いよ。」

 常磐先輩が加藤君に言った。

 「ごめん。明日はダチが遊びにくっから。」

 「へぇ。」

 常磐先輩は僕の顔を興味津々といった感じで見た後、

 小馬鹿にしたように笑った。

 「麻里緒ってこいつか?スゲェ美人だな。ま、頑張れよ。」

 常磐先輩は加藤君の肩をポンポンっと叩くと、にこやかに

 去って行った。

 「加藤ってスゲェな。常磐先輩にタメ口で話せるんだもんな。」

 伊藤君が感心したように言った。

 「貴博君は物心つく前からいつも一緒に遊んでたから、

 兄貴みたいなもんだよ。貴博君も俺のこと本当の弟

 みたいに思ってくれてるんだ。」

                         
  
 加藤君家に遊びに行くと、部屋に入るなりすぐにキスされた。

 加藤君は僕を膝の上に乗せて、後ろから抱きしめながら、

 こう言った。

 「好きだよ。こんなに人を好きになったのって初めてだ。」

 加藤君の声は真剣だった。

 「麻里緒の髪って柔らかい。」

 加藤君は僕の頭を撫でながら言った。

 「良い匂いがする。」

 加藤君は僕の髪に顔をくっつけて、匂いを嗅いでいるよう

 だった。先生も僕の髪が好きだと言って、よく頭を撫でながら

 匂いを嗅いでいた。シャンプーが母さんの好みでわりと高い

 やつ使ってるから家族全員同じ良い匂いがするんだけど・・・

 そういえば、父さんも昔はよく僕の頭を撫でてくれたっけ。

 僕は小学校2年生まで父さんの膝に座るのが好きだった。

 僕は父さんが大好きで、テレビを観る時も父さんに抱っこして

 もらっていた。そう、あの日までは・・・

 「麻里緒は神崎先生と付き合ってたって伊藤が言ってたけど、

 嘘だよな。もし付き合ってたとしても、最後までしてないよな。

 だって、最初に俺がキスした時に麻里緒は恐がってたじゃん。

 麻里緒が小2の時に襲われたのは俺も知ってる。だから、

 恐いなら、最後までしなくてもいいんだ。俺は麻里緒のこと

 好きだから。ずっと一緒にいたいだけなんだ。」

 加藤君は一体何を言い出したんだろうって僕は思った。

 こんなこと言われたら先生とやりまくってたなんて言えないよ。

 加藤君は僕の事を美化し過ぎている。僕の身体が穢れている

 事に目を背けて、現実逃避しようとしている。正直に話さ

 なくちゃ・・・と、僕が思ったその時、

 「麻里緒は俺の天使だ。可愛い可愛い俺の天使。ずっと

 一緒にいよう。麻里緒の為に俺、勉強するよ。大学行って、

 ちゃんと就職する。ヤクザにはならない。だから、一生

 俺の傍にいてくれ。」

 加藤君は僕をぎゅっと抱きしめて、髪に何度もキスしながら

 言った。僕は一生加藤君と一緒にいるつもりはなかった。

 加藤君が将来ヤクザになっても僕とは関係ないと思っていた。

 だから、僕は困ってしまった。でも、加藤君は僕の顔色が

 変わったのに気付かないのか、

 「麻里緒。ずっと一緒にいるって、どこにも行かないって、

 約束してくれ。指切りしよう。」

 と言った。僕は小指を差し出せなかった。僕は指切り

 できなかった。僕は心にもない約束はできなかった。

 『指切り拳万の意味は、約束を破ったら、小指を切り落として

 1万回殴るってことだよ』

 って母さんが言ってたのを僕は思い出した。
                           

 
 母さんは指切りしない人だった。小さい頃、やたらと僕と指切り

 したがったのは父さんだった。あれは僕がまだ幼稚園の頃、

 赤ちゃんが生まれて大変だからって、母さんは公園に連れて

 行ってくれなかった。僕が友達と公園で遊びたくて、一人で

 公園に行った日の事だった。普通に無事に楽しく遊んで

 帰ってきたのに、父さんは心配して、僕に公園に遊びに行くな

 と言った。母さんは次からは帰る時刻に迎えに行くからと

 言ってくれたけど、父さんは僕が可愛いから誘拐されたら

 どうするんだと母さんと口論した。結局、公園に遊びに行く

 事は許可してくれたけど、幾つかの約束を僕は父さんとする

 事になった。門限は5時。知らない人にはついて行かない。

 知らない人からお菓子をもらわない。知らない人に遊ぼう

 って言われても絶対に遊ばない事。あとはなんだっけ?

 たくさんあり過ぎて忘れた。でも、父さんは指切りしようって

 言って、僕は指切りした。そして、父さんは僕にこう言った。

 「絶対に約束を守ってくれ。麻里緒の為に言ってるんだ。

 世の中には小さな子を襲う悪い大人がいるんだよ。

 わかったね。」

 「うん。分かった。でも、もし、僕が襲われたら、どうする?」

 と僕が聞くと、父さんは

 「嫌いになる。」

 と言った。僕は父さんに嫌われたくなくて、4歳からずっと

 指切りした約束は守っていた。門限は小学生になってから

 5時半とか6時とかにずるずる延びてしまったけど、僕は

 知らない人にはついて行かなかった。知らない人から何も

 貰わなかった。僕を襲ったのは、よく知っている近所の

 お兄さんだった。父さんは知らない人には気をつけろと

 言ったけど、知っている人と遊ぶなとは言わなかった。

 それなのに、父さんは指切りした約束を破って、日暮れ時に

 遊んでいたからだって、僕の事を責めた。そして、父さんは

 僕が襲われた日から、僕の事を嫌いになった。

                      

 僕は加藤君にこう言った。

 「ごめん。指切りできない。」

 「・・・。」

 「僕、今はなんとなく加藤君と付き合っているだけで、

 加藤君の事が好きかどうかも分からないのに、ずっと一緒に

 いるなんてできないよ。それに、僕、先生とは何度もHして

 たんだ。だから、加藤君が僕としたいなら、してもいいよ。

 加藤君が僕の事を本気で好きって分かったから。指切り

 できない代わりに抱かせてあげる。」

 僕は加藤君の誠意に応えなきゃと思って、正直に話した。

 でも、加藤君は怪訝そうな顔をして、こう言った。

 「な、何を言ってるんだ。意味わかんないよ。麻里緒は

 してもいいって言ってるのか?」

 「うん。だって、加藤君は僕に優しいから・・・」

 「でも、俺のことは好きじゃないんだろ?麻里緒は本当は

 誰が好きなんだよ。正直に言えよ。」

 「・・・。」

 僕は何故か先生の顔が頭に浮かんできた。『麻里緒は

 優しくしてくれる人なら誰でも良いんだ』って言った時の

 先生の目と加藤君は同じ目で僕の事を見つめていた。

 僕は取り返しのつかないことを言ってしまった気がして、

 なんとかごまかさなきゃと思った。でも、僕はどうやって

 取り繕えば良いのか分からなかった。できない約束は

 しないほうが良いって昔から母さんはいつも言っているし、

 父さんの事を考えると、指切りはしないほうが良いと思う。

 僕が正直に話したら、加藤君は怒り出したから、伊藤君が

 好きだって事は言わないほうが良いと思う。何て言おうか

 考えていると、

 「もう、いい。・・・帰れ。」

 と加藤君が言った。僕は先生に捨てられた時を思い出して、

 加藤君に捨てられたくないと思った。それと同時に加藤君の

 誠意に応える為に正直に話したのに何で捨てられるんだと

 思ったら、腹が立ってきた。

 「何だよ。何で帰れって言うんだよ!やらせてやるって

 言ったのに・・・何でだよ!」

 加藤君が驚いた顔で僕を見た。

 「加藤君は僕の事を全然わかってない。僕は天使なんか

 じゃないし、堕天使でもない。僕は人間だ!」

 怒りの頂点に達したように僕は怒鳴った。加藤君は

 あんぐりと口を開けて、僕を見ていた。

 「別れよう。加藤君が僕を抱かないっていうなら、これ以上

 付き合っていても意味がないだろ。僕は加藤君のことなんか

 全然好きじゃないんだからね!」

 僕はそう言い放つと、逃げるようにして加藤君の部屋から

 飛び出した。

 「ちょ、ちょっと、待てよ!」

 加藤君が後から追いかけてきた気がしたけど、僕は一度も

 振り向かずに、階段を駆け下りて玄関から外に出た。
                         

 
 もう何も見えない状態になっていた僕は加藤君の家の前の

 道で常磐先輩にぶつかってしまった。

 「オイ!コラァ!誰にぶつかってると思ってんだ!」

 常磐先輩の取り巻きの人たちが僕に威嚇してきた。

 常磐先輩は恐い顔をして黙って僕を見下ろしていた。

 僕は慌てて、

 「すみません!」

 と、お辞儀をして走り去った。僕はひたすら走って、

 家の近くまで来ると、神社の前で伊藤君に会った。

 伊藤君は心配そうな顔をして、

 「麻里緒、どうしたんだ?」

 と聞いてきた。

 「僕、加藤君と指切りできなくて、別れようって言っちゃった。」

 「なんだって?」

 「だって一生ずっと傍にいてくれなんて言われても僕はそんな

 約束できないよ。それに、僕の事を可愛い天使って言うんだ。

 それって本当の僕を見てない証拠だと思うんだよね。」

 「それは違うよ。」

 「えっ?」

 「加藤は生まれてからずっと中学に入るまで常磐先輩しか

 仲の良い友達がいなかったんだ。金持ちなのをアピールして

 ジュースやお菓子をあげたり、ゲームを貸してあげたりして、

 エサで釣るように友達を作っても、皆ヤクザの子だからって

 腫れ物に触るみたいに接してくるから辛かったんだってさ。

 4月に俺も加藤と指切りしたよ。中学3年間ずっと友達でいて

 くれって言われて・・・加藤は本気で麻里緒の事が好きで、

 初めてできた恋人だから、少し舞い上がっていて・・・

 麻里緒には欲が出たんだろうな。確かに一生って言われたら

 俺も指切りできなかったと思う。でも何故それで別れるんだ?

 期間を短くしてもらうか先の事は分からないって言えば

 良いだけだろ?」

 「あっ、そっか。」

 その手があった事にも気付かないなんて、僕はなんて馬鹿

 なんだろうと思った。そして、僕は加藤君の気持ちを今まで

 考えていなかった事を反省した。先生に捨てられたせいで

 加藤君にも捨てられるような気がして、捨てられる前に

 捨ててやれって思うなんて、馬鹿にもほどがある。僕が

 傷ついたみたいに加藤君も傷ついたに違いない。僕が好き

 なのは伊藤君で加藤君じゃないけど、加藤君と一緒にいて、

 嫌な事なんか一度もなかった。

 「加藤に謝りに行こう。一緒について行ってやるから。」

 「うん。」

 僕は伊藤君に説得されて、加藤君に謝りに行く事にした。

                          
 
 その時、突然、常磐先輩たちが現れた。

 「テメェ!太一を泣かせやがったな!」

 いきなり常磐先輩に顔を殴られた僕は吹っ飛び、地面に

 倒れ込んだ。

 「な、何するんですか?!」

 伊藤君が僕を庇うように駆け寄り、僕と先輩の間に立った。

 しかし、常磐先輩は

 「どけ!」

 と言って、伊藤君を殴った。伊藤君は僕同様に吹っ飛んで

 地面に倒れてしまった。

 「お前には関係ない。帰れ。」

 常磐先輩は伊藤君に言った。

 「で、でも・・・麻里緒は・・・」

 伊藤君は殴られた右の頬を押さえながら、恐る恐る説明

 しようとしたけど、常磐先輩は

 「帰れって言ってんだろ!それとも、お前、ボコられてぇのか?

 つべこべ言わずにさっさと帰りやがれ!」

 と言った。伊藤君はまだ何か言おうとしていたけど、

 常磐先輩の取り巻き3人のうちの1人に胸ぐらを掴まれて

 立たされ、無理やり追い払われてしまった。残された僕に

 常磐先輩は

 「太一をふったオトシマエはつけないとな。身の程知らずな

 テメェに礼儀ってものを教えてやるよ。それにしても、神社の

 前にいるとはな。あの伊藤って奴もたらしこもうとしてたのか?

 麻里緒は8歳から男銜えこんでるんだって?どうせ男なら

 誰でも良いんだろ?好きじゃないけど抱かせてやるとか、

 抱かないなら付き合っていても意味がないとか、太一に

 言ったんだってな。太一は泣いてたよ。麻里緒の言ってる

 意味がさっぱり分からないって。でも、ほら、あれだろ?要は

 淫売なんだろ?太一の代わりに俺たちが遊んでやるよ。

 神社の林の中でまわしてやる。男好きなテメェにはちょうど

 いいだろ?」

 と言って、冷酷な笑みを浮かべて僕の腕を掴み、神社の中へ

 引き摺り込もうとした。

 「や、やめて下さい。い、嫌だ!」

 僕は地面に這いつくばって、抵抗した。

 「嫌だって?よくもそんな口が利けるな!ナイフでその口を

 削ぎ落としてやろうか?」

 常磐先輩がポケットからナイフを取り出して、脅してきた。

 僕が恐くなって、目をぎゅっと瞑ると、後ろからハンカチで

 口を押さえつけられ、3人がかりで身体を持ち上げられて、

 僕は神社の裏の林の奥に連れ去られてしまった。無人神社は

 参拝客もなく、ひっそりと広がる林には石でできたベンチが

 所々あるのに、人影すら見えなかった。先輩たちは僕を

 林の脇道に連れ込み、更に何もない空間に僕をドサッと

 放り投げた。一瞬、悲鳴をあげて逃げようかと思ったら、

 ハンカチを口に押し込められて、二人がかりで両手と身体を

 押さえつけられた。3人のうちの1人は常磐先輩に見張りを

 命じられ、林の向こう側にある公園から林の中に人が入って

 来ないよう見張りに行った。常磐先輩はナイフで脅しながら

 僕のズボンとパンツを脱がすと、僕の両足を持ち上げて、

 僕の身体に欲望を突き立てた。

                           
 
 激痛が僕の身体を引き裂いた。僕の身体は音を立てて

 破れ、血が溢れた。常磐先輩はそれでもおかまいなしに

 身体を挿入し、憎しみに満ちた瞳で僕を見下し、冷酷に

 腰を動かした。僕は恐いと思った。殺されるような痛みを

 味わうのは二度目だけど、愛のない暴行を受けたのは

 初めてだった。一度目は、あの8歳の夏の日は愛があった。

 本気で愛してくれた人だったから、僕は肛門を2針も縫う

 大怪我をしたのに、許してあげたんだ。お兄さんの弁護士に

 許してあげてって頼まれた時に100万円なんか貰わなくても

 僕はお兄さんが刑務所に入るのは可哀相だと思った。僕に

 優しかったお兄さんも僕の顔だけが好きだった先生も二人共

 悪人じゃなかった。先生は苛められてる僕を助けてくれた。

 僕の心の支えになってくれた。いつも優しく愛撫してくれて

 僕の身体が傷つかないようにローションを使ってくれた。

 走馬灯のように僕を愛してくれた人を想いながら、僕は意識が

 遠退くのを感じた。

 「寝るな!」

 パシッと頬を打たれて、僕は気を失うタイミングを逃した。

 残忍な常磐先輩の顔が僕をじっと見据えていた。

 「ああ、よかった。死んだかと思ったぜ。」

 僕を押さえつけていた一人が安堵したように言った。

 「バカ。気絶しただけだろ?」

 常磐先輩はフッと笑って言った。僕は痛みに耐えられず、

 一瞬だけ気を失っていたらしい。さっき脳裏に浮かんだ

 先生の顔は夢だったのだろうか・・・

 僕は気を失う事も許されず、先輩に犯された。僕の身体は

 裂け、溢れる鮮血がローションの代わりとなって、ヌメヌメと

 滑りを良くし、常磐先輩は僕の中で激しく腰を動かし続けた。

 僕は内臓を抉られるような痛みを味わいながら、声にならない

 叫びを上げ、一刻も早く終わってくれる事を願った。やがて、

 常磐先輩が僕の中で果てると、次に、僕を押さえつけていた

 先輩が僕にのしかかった。

                           

 「うわぁ。血が出てる。俺、血って苦手なんだよね。」

 「何、怖気づいてやがる。さっさとやれよ。金田。」

 常磐先輩に金田と呼ばれた先輩は僕のお尻を見て、挿入を

 躊躇っていたが、常磐先輩には逆らえないのか、ゆっくりと

 僕の中に入って来た。

 「あ、すげぇ。中、グチョグチョじゃん。女じゃなくても

 濡れるんだな。」

 痛がる僕とは対照的に気持ち良さそうな顔をして、

 金田先輩は腰を動かし始めた。

 「バ~カ。俺の出したやつがそいつの中に入ってるからで、

 男が濡れるわけねぇだろ?おまえって本当のバカだな。」

 常磐先輩が笑った。

 「そっか。女みてぇな顔してても濡れねぇのか。でも、

 胸は感じるかな。」

 金田先輩はそう言うと、僕のシャツのボタンを外して、

 胸を弄った。

 「おい。痛めつけるのが目的だって忘れたのか?」

 常磐先輩がムッとした顔で言った。

 「でも、胸を摘まむと、こいつ、中が動くぜ。ほら。

 少し立ってきた。」

 さっきまで小さかった僕のものを金田先輩は握りしめ、

 扱き始めた。前と後ろを同時に攻められて、僕は不覚にも

 感じてしまった。痛みよりも勝る快楽の波にのまれて、

 僕は絶頂に達した。

 「うっ。こいつ、すげぇ締めつけるから、つられてイっちゃった。

 あ~気持ち良かった。」

 金田先輩が僕から離れると、常磐先輩は軽蔑したように

 僕に言った。

 「まわされて、イク奴なんて初めて見たぜ。この淫乱。お前は

 好きでもない奴に抱かれて感じる最低な人間なんだな。

 お前みたいな奴は太一に愛される資格はないぞ。そうだ。

 これからは俺のペットにしてやるぜ。毎日、いろんな奴に

 抱かせてやる。お前は男に抱かれながら、太一をふった事を

 後悔して生きろ。死んだほうがマシだと思うくらいの地獄を

 見せてやるぜ。」

 残酷に笑う常磐先輩は僕を奈落の底へ突き落す為に現れた

 地獄の番人のようだった。いつしか太陽は地獄の業火で

 空を真っ赤に染めていた。名前も顔も知らない常磐先輩の

 取り巻きの人が喜んで僕のお尻に欲望を突き立てた。

 さっきの人と違って、今度は下手糞だった。顔も今まで寝た

 誰よりもブサイクだった。これは罰だ。生きている事への罰だ。

 8歳で純潔を奪われた事に対する罰だ。指切りしたのに、

 父さんをがっかりさせた罰だ。僕はもう誰からも愛される

 資格がないんだ。僕は涙を流して後悔した。落ちていく

 太陽と共に僕は地獄へと堕ちて行った。地獄の扉を開いた

 常磐先輩は死に逝く僕を見送るように笑っていた。

                          

                                (完)
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