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黒執事部屋

黒執事「猫」

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街にサンタが溢れる頃、シエルは誕生日を迎える。

誕生日の前日、シエルはセバスチャンを連れて、

ファントムハイヴ社の経営する玩具屋の視察に出かけた。

クリスマスキャンペーンで12月1日~24日までの売り上げの

1%を恵まれない子供達に寄付すると公言したとたん

慈善事業家としてファントムハイヴの名が新聞に載り、

クリスマスプレゼントを買い求める客が店に押し寄せて来たのだった。

「坊ちゃん。大繁盛ですね。」

「世の慈善事業家どもは目玉の飛び出る金額を教会に寄付したりするが、

我が社はタダでは寄付しない。たった1%だというのに物珍しさで

新聞に取り上げられ、店は連日大盛況だ。クリスマス商戦は

我が社の勝ちだな。ワッハッハ・・・」

シエルは悪そうな顔で笑った。

「慈善事業を上手く利用して広告代を浮かすとは坊ちゃんも

悪知恵が働きますね。お見事です。」

セバスチャンはシエルを褒めた。店は親子連れで賑わっていた。

シエルがご満悦の表情で店内を眺めていると、1匹の猫が客に紛れて

ドアから入って来た。最初は客のペットかと思ったが、どうやら違うようだ。

猫に気付いた店員が慌てて駆け寄り、猫を店の外に摘まみ出した。

シッシッと言って追い払う店員に何故か猫は逃げなかった。

もう一度店の中に入りたいのか店員の足に猫はすり寄った。

随分人懐こい猫だなとシエルが思って、フッと笑った瞬間、

店員が猫を蹴り飛ばした。蹴られた猫は勢いよく道の真ん中まで飛んで行った。

すると、その時、猛スピードで駆けてくる馬車が猫を轢きそうになった。

「あっ!危ない!」

と、シエルが叫んだ瞬間、セバスチャンが馬車の前に飛び出して、

猫を助けた。猫を抱きかかえ戻ってきたセバスチャンは

「この猫を屋敷に連れ帰ってもよろしいですか?」

と言った。猫は毛並みの色つやも良く野良猫には見えなかった。

「迷子猫かもしれないぞ。飼い主を探せ。飼い主が見つかるまでなら

飼っても良いぞ。」

「イエス・マイ・ロード。ロンドン中に100枚貼紙をします。」

「セバスチャン。おまえ、猫には親切だな。」

シエルは猫を屋敷に連れて帰る事にした。


その夜、シエルはなかなか寝付けなかった。

部屋の明かりは暖炉の火のみで、赤々と燃える炎が床を照らしていた。

セバスチャンは視察から戻るとすぐに猫の飼い主を探すビラ作りに取り掛かり、

100枚もの猫の似顔絵を描き、街中に貼って回った。

夕食後は明日のバースデーパーティーの準備に忙しいと言って、

調理場に閉じ籠り、あまり顔を出さない。

大方、ケーキを作っているフリをして猫と遊んでいるんじゃないかと

シエルは思った。シエルは溜息をついて、窓から夜空に浮かんでいる

大きな月をぼんやりと眺めた。

その時、月明かりが差し込む部屋のドアのほうから僅かに物音がした。

一瞬、セバスチャンが来たのかと期待したが、違っていた。

換気の為にと開けたままになっているドアの隙間から

昼間拾ってきた猫がスーッと入って来たのだった。

「なんだ。猫か・・・おまえも放っておかれていたんだな。」

とシエルはつぶやいた。人懐こい猫はシエルのベッドに

ぴょんと飛び乗り、シエルの上に座り込んだ。

「一緒に寝たいのか?」

と、シエルは猫に聞いた。

「ニャー。」

と猫は鳴き、シエルの顔をペロペロと舐めた。

「コラコラ。くすぐったいだろ。」

思わずこぼれた笑みに猫はつけ入るようにシエルの唇を舐めた。

ザラザラとした猫の舌の感触がシエルの唇に奇妙な刺激を与えた。

「坊ちゃん。何をしているのです。」

突然、セバスチャンが部屋のドアを開けて、シエルを咎めるような顔で言った。

「な、なんだ?いきなり。何もしていやしないぞ。こいつが勝手に・・・」

シエルは慌てて猫を引き剥がした。

「何も?坊ちゃん。嘘はよくないですよ。今、猫とキスしていましたよね?

坊ちゃんがそういう御趣味とは知りませんでした。」

セバスチャンはわざとらしく眉をひそめて言った。そして、何やら色々

載せたワゴンを押してベッドの横までやって来ると、こう言った。

「お誕生日おめでとうございます。坊ちゃん。時刻は真夜中の12時を

1分過ぎました。2人だけのバースデーパーティーをしましょう。

素敵なケーキを作って差し上げます。」

ワゴンの上には生クリームがたっぷり入ったボウルと

イチゴが盛られた皿と蝋燭とリボンが置いてあった。

シエルは嫌な予感がした。


「何をする気だ?」

シエルが聞くと、セバスチャンはニコッと笑って、

「ケーキを作るのです。坊ちゃんの身体に生クリームを

たっぷりと塗って、イチゴで飾り付けして差し上げます。」

と答えた。

「何で僕の誕生日なのに僕がケーキになるんだ?」

「まあ細かい事は気にせずに・・・きっと素敵なバースデーケーキに

なると思いますから。」

セバスチャンはそう言うと、シエルの寝巻を脱がせにかかった。

「や、やめろ。」

シエルは抵抗したが、あっという間に全裸にされてしまった。

セバスチャンは嫌がるシエルの両手首をリボンで縛り、

裸体に生クリームを塗り始めた。

「うわっ。冷たい。や、やめろ。」

シエルは生クリームのベタベタする感触に鳥肌が立った。だが、

セバスチャンはシエルの言う事など無視して、胸、腹、下半身へと

ヘラを使って身体中にどんどん生クリームを塗って行く。

万遍なく塗り終わると、今度はシエルの尻にホイップクリームを詰め込んだ。

「あっ。やっ。や~。」

ホイップクリームを注入されて、シエルは悶えたが、セバスチャンは

おかまいなしだった。セバスチャンは楽しそうにホイップクリームで

シエルの両の胸を飾り付けして、イチゴを乗せた。そして、

上を向きかけている下半身もホイップクリームで飾り付けして、

最後にイチゴを並べて、セバスチャンは人間ケーキを完成させた。

「美しい坊ちゃんケーキの出来上がりです。味見なさいますか?」

「あ、味見なんか・・・どうやって食うんだ。」

「坊ちゃんに言っているのではないですよ。猫に言っているんです。」

セバスチャンはさっきから興味津々といった眼差しで見つめていた猫を

シエルの足と足の間に置いた。そして、

「さあ、どうぞ召し上がれ。」

と言って、猫にシエルを舐めさせた。猫はシエルの下半身の

ホイップクリームを美味しそうにペロペロと根元から先端まで

上手に舐め上げた。シエルはカブッと噛まれないか心配で

ヒヤヒヤしていたが、逆にそれはおぞましい快感をシエルにもたらした。

猫はほんのりピンク色の肌が見えるくらいまで舐め続けると、

満足したのか今度は喉をゴロゴロ鳴らし、ベッドを足モミし始めた。

「蝋燭に火を灯しましょう。」

セバスチャンは蝋燭に火をつけて、シエルの身体に塗られた

生クリームに数本差した。

「あ、熱い。や、火傷したらどうするんだ!」

「大丈夫ですよ。すぐに消しますから。でも、その前に、

こちらにも蝋燭を・・・」

セバスチャンは線香のように細い蝋燭を1本手に取ると、火をつけて、

先ほどまで猫が舐めていた薄ピンク色のシエルの先端に

ゆっくりと挿し込んだ。

「あっ。や、やめっ。ああ。」

シエルは喘いだ。


「坊ちゃん。とても可愛いですよ。」

セバスチャンは妖しく輝く美しいケーキを満足げに眺めた後、

フーっと一息で火を消すと、1本だけ残して蝋燭を取り去り、

シエルの足を開いた。

「まるで、おまえの誕生日のようだな。おい。1本消し忘れているぞ。」

シエルは線香のように細い蝋燭にまだ火がついている事を指摘した。

「これはそのままで。」

セバスチャンはそう言うと、まだ慣らしてもいないシエルの中に入って来た。

「あっ。ああ。ああ~」

何度も激しく突かれて、シエルは苦痛と快楽の狭間で嬌声をあげた。

身体を突かれる度に蝋燭の炎が揺れる。熱く激しく蝋燭に灯された炎が

幻想的に揺らめき、狂気的な快楽へと誘っていく。

「あっ。ああ~。も、もう。ダメだ。ぬ、抜け。ああっ。」

「御意。」

セバスチャンが蝋燭を抜くと同時にシエルは絶頂に達した。

セバスチャンもシエルの中で欲望を放ち、シエルに口づけした。

シエルは余韻を味わうように口を開け、舌と舌を絡ませ、

セバスチャンの舌を味わった。

「猫とどちらが良かったですか?」

セバスチャンが聞いてきた。シエルは頬を赤く染めて、

「バカ。」

と言った。

行為の後、セバスチャンはシエルの身体を拭き、シーツを取り替え、

全て片付けた。そして、バスタブを部屋に用意し、熱いお湯を注ぎ、

シエルを入浴させた。セバスチャンがシエルの身体を洗っていると、

再び猫が寄って来た。

「こいつも風呂に入りたいんじゃないのか?」

とシエルが言った。

「まさか。猫は水が嫌いですから、お風呂には入りませんよ。

それにしても、この猫は不思議な猫ですね。あの舌使いは

ただ者ではありませんね。ひょっとしたら、そっち専用に

飼いならされた猫かも知れません。」

「じゃあ、こいつが居れば、おまえはもう要らないな。」

と、シエルは意地悪く笑って言った。すると、セバスチャンは

「では、次回は猫の手足など入れてみますか?」

と言った。

「おまえが言うと、冗談に聞こえない。」

シエルは笑うのをやめて、口元までお湯に浸かった。

暖かな暖炉の火と月の明かりが湯を照らしていた。

「坊ちゃん。お誕生日おめでとうございます。」

セバスチャンが金の指輪をシエルの目の前に浮かべた。

指輪はゆっくりと湯に沈んで行き、シエルは両手ですくうように

指輪を受け取った。指輪を指で摘まみ上げて、よく見てみると、

三日月・上弦の月・十三夜月・満月・十六夜月・下弦の月など

月の形の細工が施されていた。月の満ち欠けが描かれた

金細工の指輪をシエルは薬指にはめてみた。

「彫金に時間がかかりまして、坊ちゃんにいささか寂しい思いを

させてしまいました。申し訳ございません。しかし、誰よりも先に

バースデープレゼントを渡したかったのでございます。」

「ずっとこれを作っていたのか?」

「はい。」

セバスチャンは背後から抱きしめ、シエルの指に接吻した。

金色に輝く月は満ちても欠けても美しくシエルの薬指に繋がっていた。

愛よりも深い絆で結ばれた二人の蜜月は月が満ち欠けを

幾度となく繰り返すように永遠に続くだろう。

「坊ちゃん。・・・」

そして、今日もまた悪魔が耳元で囁く。

                             (完)

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