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ガンダムOO部屋

ガンダムOO「刹那」

 ←秘密二次創作小説 →ガンダムOO「ハロ」


 季節は夏。刹那たちはソレスタルビ-イングの所有する南の島に

 来ていた。

 久しぶりの休暇でいつもは大人しいアレルヤまではしゃいでいた。

 「ロックオン。早く早く~」

 「お~い。待てよ~。」

 万遍の笑みを浮かべて、アレルヤを追いかけて海辺を走る

 ロックオンの姿を刹那は遠くから見ていた。

 碧い海は太陽の光をキラキラと反射して輝き、押し寄せる白い波

 がロックオンの体にぶつかるたびに筋肉が躍動して泡波がはじけ

 飛び、生命力あふれる彼の姿はまるでギリシャ神話に出てくる

 神のように美しかった。

 「君は泳がないのかい?」

 ティエリアが独り砂浜で見つめている刹那の顔をのぞきこんで

 「せっかくの休暇なのだから、君も泳いだら良いのに・・・

 僕はちょっとやることがあるので失礼するよ。」

 ティエリアはノートパソコン片手にそう言うと去って行った。

 よく考えたら、水着に着替えておいて、泳がないのも変だ。

 でも、刹那は二人の中に入って行く気がしなかった。

 刹那の前には孤独の壁が総てをふさいでいた。

 見えない壁に囲まれて刹那は感情を表に出す事ができなかった。

 自分も彼のように素直になれたらどんなに楽だろう。

 刹那は壁に押し潰されそうになりながら、生きていた。

 誰かが壁を壊して、救い出してくれるのをじっと待っていた。

 ロックオンはまだ、助け出してくれない。

 それどころか、気づいてもくれなかった。

 刹那はただ黙って彼を見つめているしかなかった。


夏の陽ざしは暑い。照りつける太陽が刹那の肌を焼く。

 刹那は子供の頃に砂漠を歩かされた時のことをなぜだか

 思い出した。中東の聖戦は悲惨だった。

 敗北が近づくにつれ敵に追われるように拠点を移した事があった。

 飢えと乾きに耐えられない幼子は置き去りにされ死んでいった。

 満足な食事もあたえられずに銃を持たされて戦場に送り出された。

 刹那が兄のように慕っていた友達も戦死した。

 その死は刹那を悲しみの闇に突き落とし、深く心を苦しめた。

 刹那は二度と大切な人を失う苦しみを味あわないように

 親しい友達をつくらなくなった。

 刹那はガンダムマイスターになってからも心を閉ざしたままだった。

 だが、唯一ロックオンのことだけは気になっていた。

 刹那は優しくて太陽のように笑うロックオンに惹かれていた。

 彼を慕う感情を抑えきれなかった。

 しかし、いつも遠くから黙って見ていた。

 すると、その時、

 「お~い。刹那も来いよ~。」

 太陽が笑いかけた。

 「いつまでも砂浜に座ってると干からびちまうぜ。こっちに来いよ。」

 ロックオンがてまねきしている。

 刹那はグズグズと重い腰を上げてロックオンの所に行った。

 海の水はひんやりと冷たくて、汗ばんだ肌には心地良かった。

 「刹那、足元を見てごらん。魚がいるよ。」

 小さな可愛らしい魚が一匹泳いでいた。

 刹那は魚を見て微笑んだ。

 「やっと笑ったな。」

 ロックオンが刹那の頭をクシャッと撫でた。

 空は青く澄み渡り、海は何処までも広がっていた。


「バーベキューのしたくができたよ。」

 波打ち際にいつの間にかティエリアが立っていた。

 「それはありがたい。腹ペコだったんだ。食いに行こうぜ。」

 ロックオンは刹那の手を引っ張って走り出した。

 砂浜に用意されたテーブルの上にはご馳走がいっぱいだった。

 バーベキューの肉がこんがり焼けて、良い匂いがした。

 「美味しそう。これ全部ティエリアが作ったの?」

 アレルヤが目を輝かせて言った。

 「ああそうだよ。みんなが泳いでる間に作ったんだ。

 さあ、召し上がれ。」

 「いっただっきま~す。」

 皆、美味しそうに肉を口に頬張った。楽しい食事だった。

 ロックオンがジョークを言うたびにアレルヤとティエリアが笑う。

 いつしか刹那まで声をたてて笑っていた。

 幸せだった。みんなまるで仲の良い兄弟のようだった。

 明日には終わる幸せを予感してか、みんな明るくふるまっていた。

 食事を終える頃に、

 「刹那、髪が伸びたな。俺が切ってやろうか。」

 と、ロックオンが刹那の髪を触りながら言った。

 「うん。」

 いつになく刹那は素直にうなずいた。

 「よ~し。じゃあ、カリスマ美容師の腕前を見せてやろうかな。」

 ロックオンは手際よく刹那の首に布を巻き砂浜の椅子に座らせた。

 クシで髪をとかしながらハサミでチョキチョキと髪を切っていく。

 ティエリアとアレルヤはクスクス笑いながら食事の後片付けを

 はじめた。

 ロックオンは刹那の癖毛に悪戦苦闘しながらも毛先だけ切り

 そろえていった。

 頭の向きを変えるたびにロックオンの大きな手が刹那に触れる。

 刹那は美しい海を見つめながら、ロックオンを感じていた。

 世界が二人だけになったような気がした。

 この世界が永遠に終わらなければ良いと思った。

 「さあ、できたぞ。どうだいプロの腕前は?」

 ロックオンは自信たっぷりに鏡を差し出して言った。

 刹那は鏡を見て、(かなり微妙??)って思ったが、

 ロックオンがプロの美容師でないことを承知で切らせたので、

 何も言わなかった。

 ロックオンが刹那の首に巻いていた布をとって、

 「明日からまた宇宙だな。」

 と言った。刹那は黙っていた。

 楽しいひと時は終わった。


夜、刹那は寝つけなかった。

 明日、宇宙に行ったら、地球にいつまた帰って来られるか

 わからない。

 刹那はベッドから抜け出して、一人で浜辺に出た。

 静まりかえった夜の砂浜には刹那のほかに誰もいなかった。

 静寂が闇に溶け込み、星空が綺麗だった。

 幾千もの星が夜空に輝き、地球を見下していた。

 広大な宇宙は静かに地球を包んでいた。

 宇宙の中のちっぽけな星で、いがみあい、憎しみあっている

 人間はなんと愚かな生き物だろう。

 刹那は独りため息をついた。

 その時、後ろから何者かによって口を塞がれ、

 刹那は意識を失った。


目が覚めるとそこは見知らぬ基地の取調べ室だった。

 刹那は両手両足に手錠をかけられて拘束されていた。

 ぼんやりとした視界であたりを見まわすと誰かがデスクに腰掛け

 ている。男は不気味な笑みを浮かべながら刹那を見ていた。

 そして、刹那の意識が戻ったのに気づいてニヤニヤと笑いながら、

 白いコンクリートの床に転がされている刹那に近づいてきた。

 「ようやくお目覚めか?薬が効いてよく眠ってたな。」

 男はサーシェスだった。

 刹那は声にならない悲鳴をあげた。

 「久しぶりだなぁ。」

 サーシェスは刹那の髪をつかんで、顔を上げさせた。

 「お前が夜中に海辺をふらふら歩いてるおかげで、

 ずいぶん捕まえやすかったぜ。こちとら敵さんの基地の中まで

 潜入するつもりだったのによぉ。」

 サーシェスはおもしろそうに刹那の髪をグイグイ引っ張って

 「お前に聞きたいことがある。ヴェーダの少年に関する情報を

 はいてもらおうか?あれは人間か?それとも・・・」

 「知らない。なんのことだ?俺は何にも知らない。」

 「そうくると思ったぜ。」

 サーシェスは目をギラつかせて、楽しそうに髪をつかんだ手に

 力をこめて頭を引っ張り上げ、刹那の耳元でささやいた。

 「まずは拷問といくか?」
 
 刹那は地獄の底へと落ちて行く予感がした。



 そこが拷問室であることに気づいたのは天井に吊るされてから

 だった。刹那は手首をロープで縛られ、足がつくかつかないか

 くらいの高さに吊るされた。

 「早いとこはかないと痛い目みるぜ。」

 サーシェスは鞭をふりかざし、ニヤリと笑って言った。

 サーシェスが刹那のあごに手をかけて顔を近づけると、

 刹那は唾を吐きかけた。

 次の瞬間、サーシェスの目が怒りに燃えて、バシッと刹那の頬に

 平手が飛んだ。

 「つけあがりやがって。いったい誰に唾を吐きかけたと

 思ってるんだ。まさかこの俺を忘れたわけじゃあるまいな。」

 「覚えてるよ。あんたはなぜ傭兵やスパイの真似をしている?
 
 あんたの神はどこにいる?神なんて最初からいなかったんだ。

 あんたはただの人殺しだ。」

 「このやろう、育ててもらった恩を忘れやがって!」

 サーシェスの鞭がビュッと音をたてて刹那に振り下ろされた。

 打たれた所の服が裂けて破れた。重い一本鞭と違ってまだ

 女王様が使うような先の細い軽い鞭だったが、それでも何度か

 打たれたら服だけじゃなくて皮膚も裂けて血が滲むだろう。

 だが、刹那はフッと笑ってこう言った。

 「誰がいつ育ててくださいって頼んだ?

 戦災孤児の面倒をみてやってるなんて恩着せがましく言いながら、

 戦争のどさくさにまぎれて俺たちをさらって来たんだろ?

 全部知ってるんだ。テロリストに育てるために子供たちを誘拐

 してたって。あんたのせいでみんな死んだ。友達も誰もかれも

 みんな死んだんだ。」

 「うるせぇ!!このガキが。そういやぁ、おまえは臆病者のくせに

 反抗的な態度だったから、いつもお仕置きされてたな。

 ふっふっふっ。また、あの頃みたいにお尻を叩いてやろうか?」

 サーシェスは嫌な笑いを浮かべて、刹那の頬を撫でるように

 触りながら、耳元でささやいた。

 「思い出すなぁ。あの頃を・・・おまえはいつも子犬みたいな瞳で

 震えていたっけ?今夜はたっぷりと可愛がってやるから

 覚悟しやがれ。」



拷問室にムチの音が鳴り響く。

 刹那は声をこらえて唇を噛みしめ苦痛に耐えていた。

 サーシェスに引き裂かれた服が無残に床に散らばっている。

 刹那の背中はムチによって赤い印が縦横無尽に刻み込まれ、

 血を滴らせていた。

 縄で手首を縛られ、天井から宙吊りにされて、全体重がかかった

 手首は悲鳴をあげ、足は虚しく地を求めて彷徨っていた。

 「いいかげん、はいちまったらどうだ?」

 「知らないものは知らない。」

 「強情だな。」

 サーシェスは鼻で笑って、何か気が変わったのかムチを投げ捨て、

 刹那の耳を噛んだ。そして首筋をペロリと舐め上げ耳元で囁いた。

 「なぁ昔のこと覚えてるか?お前はいつも腹をすかせていたよな。

 俺らの食事を羨ましそうに物欲しげな顔で見ていやがるから

 ちょっと優しい声をかけて食うか?と聞くと缶詰やハムに釣られて

 何でもしたよな。」

 サーシェスは刹那の顔がこわばった表情を見て楽しみながら、

 さらにいたぶるようにこう言った。

 「おまえらガキは扱いやすかったぜ。順応力に優れてるっつうか

 昔の記憶なんてすぐに忘れちまって、殺せと言うだけで命がけで

 殺しに行くからな。いつだったか、お前の友達が自爆テロに志願

 したっけ?あいつのおかげで罪のない一般人が大勢死んだなぁ。」

 「やめろ!!」

 刹那は血を吐く思いで叫んだ。


「お許しください。サーシェス様。だろ?」

 サーシェスはニヤニヤ笑いながら言った。

 「昔みたいに、いい子になるからもう許して。って言ってみろよ。」

 サーシェスは刹那の耳たぶを甘噛みして、舌を入れてきた。

 耳の中を舌で舐めまわされる感覚に刹那は鳥肌が立った。

 サーシェスはさらに首から肩、そして背中へと口づけして行き、

 ムチで打たれた傷から滲む血を美味しそうに舐めた。

 サーシェスは刹那の血の味を楽しみながら、時折、傷口に歯を

 立てた。そして、さんざんいたぶった後、刹那の唇に触れた。

 「口あけろよ。」

 サーシェスはそう言うと、刹那に深く口づけをした。

 「痛っ!何しやがる!」

 サーシェスの口から一筋の血が流れた。刹那はサーシェスの舌を

 噛み切ったのだった。サーシェスは怒って、刹那の首を絞めた。

 指が喉に食い込み、刹那は息ができなくて窒息しそうになった。

 刹那が気を失いかけた時、サーシェスはわざと首から手を放した。

 刹那はゲホゲホと咳き込み、涙があふれた。

 「殺してやる。」

 刹那は憎しみを込めて、サーシェスを睨んだ。

 だが、サーシェスは楽しそうにこう言った。

 「俺はお前の反抗的な瞳が好きだ。だが、いつまでもつかな?

 そうそう、お前、虫歯はないか?麻酔なしで抜いてやろうか。」


その時、拷問室のドアが開いた。

 グラハム・エーカーだった。

 「そこまでだ。サーシェス。少年相手に拷問とは・・・何故、

 薬を使わない?あとは私がやる。下がって良いぞ。」

 「あいにくと俺は血を見るのが好きでね。歯の2、3本でも

 引っこ抜けば白状するさ。」

 「下がれと言っている。分からないのか?」

 サーシェスはグラハムに睨まれてしぶしぶ部屋を出て行った。

 「やっと君に会えたね。それにしても随分と痛めつけられたな。

 これからは私が君を支配する。薬は使うがね。」

 グラハムは冷淡な碧い瞳で刹那を見下ろすとナイフを取り出し

 ロープを切った。ドサッと刹那が床に倒れると、兵士が二人で

 手足を掴んで部屋の隅に置いてあったベッドへ刹那を運んだ。

 そのベッドには革製の拘束具が幾つもついていて、刹那は

 両足、太腿、胴、胸、首の5箇所をベッドに固定され、最後に

 両腕を伸ばした形で手首をベッドの端と端に拘束された。

 カラカラと銀色に光る医療器具を乗せたワゴンがベッドの側に

 引き寄せられるのを見て、刹那は恐怖に蒼ざめた。

 「怖がることはない。今から薬を打つ。注射する時少し痛い

 かもしれないが、すぐに気持ち良くなるからね。」

 グラハムは不敵な笑みを浮かべながら、刹那の腕を丹念に

 アルコールを浸み込ませたガーゼで拭いてから、注射針を

 さした。注射器の中の液体が刹那の身体に注ぎ込まれて行く

 に連れて、刹那はふわふわと浮遊感に似たものを覚えた。

 次第に脳が思考を停止し、何も考えられなくなってしまった。

 ぼんやりとぼやけて視界に映るものはグラハムの顔だけだった。

 「この薬には副作用がいくつかあって、たまに発狂する場合も

 あるが、たぶん君は大丈夫だろう。人間は死ぬ前に過去の

 記憶がさかのぼり、走馬灯のような夢を見るって知ってたかい?

 本当に死ぬ時には幸せだった記憶しか蘇らないが、この薬では

 死なないから、同じような現象が起きても悪夢を見るんだ。

 ほんの数時間眠っているうちに心を悪夢に浸食されて、目が

 覚めた時には発狂してしまうケースもあるが、運が良ければ

 従順な人形に生まれ変わる。さあ、眠りなさい。深い眠りに

 ついて、再び目覚めた時、君は生まれ変わるだろう。」



刹那はまるで暗示をかけられたようにゆっくりと目を閉じた。

 そして、深い眠りに落ちた。

 刹那は夢を見た。

 夢の世界で刹那は子供だった。

 
 温かな木洩れ日が眩しく輝いて、刹那に光が降り注ぐ。

 刹那は大きな木の下で犬と一緒にお昼寝するのが好きだった。

 この丘からは小奇麗な石造りの町並みが一望できる。

 刹那は白い大きな犬を枕にして、丘の上の木の下で美しい

 故郷の景色を眺めていた。

 すると、遠くから何十人もの男の人たちがゾロゾロと歩いてくる。

 皆、銃を手にして、暗い顔をしていた。

 その横を数人の少年達が無邪気に走りまわり、

 「万歳!万歳!戦争だ!戦争だ!」

 と、嬉しそうに叫んでいた。

 何処からか村の長老が現れて、刹那に語りかけた。

 「村の男たちは戦争に行った。白人と戦うのだ。

 白人たちを許してはならない。奴等は我々の平和を奪った。

 軌道エレベーターを造り、原油の値を下げ、我が国の油田を

 閉鎖に追い込んだ。その結果、失業者が町にあふれかえり、

 人々はパンすら買えなくなってしまった。

 アフリカの民が貧困に苦しんでいるのを知っているか?

 人々は畑を耕し、穀物を育てても、それを口にすることが

 できない。全ての穀物を家畜の餌にするため白人が買い上げ、

 穀物の値をつり上げているからだ。二束三文で土地を売って

 しまったアフリカの民は安い賃金で働かされ、自分で育てた

 穀物を食することができない。それだけではない。水の利権

 までもを白人は買いあさり、世界中の水を白人だけのものに

 しようとしている。アフリカの民が安心して飲める水は

 もう何処にもない。土地を手放し、飢えと渇きに苦しみ、

 貧困にあえぐアフリカの民のように我々はなってはならない。

 その為の戦争だ。神が我々に味方してくださる。

 神が我々を導いてくださる。これは聖戦なのだよ。」

 刹那は悲しくなって、泣き出した。


その夜、刹那の母はこう言った。

 「お父さんは戦争に行ってしまった。もう生きて帰って

 来れないから、お父さんには二度と会えないわよ。」

 大好きなお父さんがいなくなったと知って、刹那はまた

 泣き出した。母親はイラついたように

 「泣くんじゃないよ。」

 と言った。晩ご飯はシチューだった。

 刹那はお腹をすかせていたので、大好きなお母さんの

 作った美味しいシチューを喜んで食べた。

 母親はにっこり笑って言った。

 「美味しいかい。たんとおあがり。このシチューの肉は

 おまえが可愛がっていた犬だよ。家にはもう食料を買う

 お金が無いからね。最後の晩餐だよ。」

 刹那は吐いた。

 吐きながら、母親の顔を見ると、彼女は微笑んでいた。


翌朝、刹那の村は空襲に襲われた。

 空から数え切れないほどのミサイルが降り注ぎ、

 総てを破壊した。総ての命を奪った。

 一瞬で廃墟と化した村には死体の山が築かれた。

 だが、刹那は瓦礫に埋もれて生き残った。

 重い壁に押し潰されて、身動きもとれずに、

 独り地獄の光景を見ていた。

 そこへ赤毛の男が現れた。サーシェスだった。

 彼は刹那の身体に重くのしかかった壁を取り除き、

 刹那を助け出した。そして刹那を抱き上げてこう言った。

 「神の御加護によりお前の命は助かった。

 本来此処で死ぬ運命だったお前の命を神に捧げよ。

 俺がお前の父となり、立派な戦士に育ててやろう。」

 サーシェスは刹那を村から連れ去った。

 サーシェスのアジトには刹那と同じくらいの年の戦災孤児が

 たくさんいた。皆、お腹を空かせており、瞳が虚ろだった。

 毎日、塩味のジャガイモのスープやカビの生えたパンばかり

 食べさせられて、剣や銃の扱い方を教え込まれた。

 時には地雷を埋めに行かされたり、罪もない村から食料や

 金品を奪う手伝いをさせられたりした。そして逆らえば、

 殴る蹴るの暴力を受けた。

 サーシェスはある日、刹那たちに実施訓練だと言って、

 村人たちを殺させた。村には生き別れになった母がいた。

 刹那は母を銃で撃ち殺した。不思議と涙はでなかった。

 刹那はもう考えることをやめていたから、母を殺しても

 犬が死んだ時より悲しくなかった。刹那の心の中は

 虚無感でいっぱいだった。

 サーシェスは返り血を浴びて美しく汚れた刹那を満足げに

 眺めて、血に染まった刹那の手をとり、刹那の髪を優しく

 撫でながら、こう言った。

 「神はこの地を脅かす者を許さないだろう。

 白人に媚びへつらい服従する臆病者は死をもって償うべし。

 我々は総て焼き尽くされ灰になろうとも決して降伏しない。

 復讐を成し遂げる者こそ真の勇者なり。

 神の名のもとに我らは戦う。

 神の子よ。血の洗礼を受けた今日を忘れるな。」


一度落ちた闇からは二度と這い上がれない。

 刹那たちは人殺しの旅を続けた。

 刹那は命じられるままに何でもした。

 感覚が麻痺して不思議と死さえ恐ろしくなくなってしまった。

 来る日も来るも戦場で戦い、敵に命を狙われ仲間を殺され

 続け、戦いに疲れた頃、子供達を残して大人達は逃げた。

 刹那は自分を支配していた者にすら捨てられて絶望した。

 神は何処へ行ったのだろう。

 この世界に神はいない。

 刹那は途方に暮れて、神を呪った。

 ある日、刹那は戦いの中、空を見上げた。

 空には美しい粒子を放ち金色に輝くガンダムがいた。

 空から舞い降りた天使のような気高く美しい救世主に

 刹那は心奪われた。

 ガンダムの放つ光は希望の光。

 刹那が光に歩み寄るとそれは消えてしまった。

 希望を失った刹那は絶叫した。

 刹那の住む世界にはもはや死人しか存在しない。

 幼子の屍を敵のモビルスーツが踏み潰して街を破壊していく。

 無力な自分を刹那は呪った。

 そこで夢は覚めた。


刹那が目を開けて最初に見たものは白い天井だった。

 次に白い壁と白いついたてと白いサイドテーブル。

 何処かの病室のベッドで刹那は寝ていた。

 ステンレス製の棒に吊るされている白濁色の点滴は

 刹那の腕につながっていた。

 『ここはどこだろう・・・』

 刹那はぼんやりとした頭で考えた。

 そして、金色の髪と碧い瞳の軍服の男が刹那を見つめている

 ことに気がついた。その美しい顔立ちの男はずっと前から

 ベッドの隣の椅子に座って、刹那を見守っていた。

 「あなたは誰?」

 その問いかけに男は満足そうに微笑んだ。

 「目覚めたのかい?私はグラハム・エーカー。」

 「あ、俺、何も思い出せない。・・・俺は誰?」

 「君の名前は刹那だよ。私の可愛い天使。よく眠っていたね。

 君は記憶喪失にかかったのだよ。」

 「記憶喪失?」

 刹那は不安になり、必死に自分が誰なのか思い出そうとしたが、

 頭に霧がかかったように何も思い出せなかった。

 「本当に何も覚えていないのかい?」

 「はい。何も・・・」

 「君は私の従順な人形。私の命令には絶対服従だ。

 分かったかい?君は私のものだ。刹那、心配したよ。

 3日間眠り続けていたんだ。目が覚めて良かった。」

 グラハムは刹那の顎にそっと手をかけ、ゆっくりと顔を近づけて

 刹那の唇に口づけした。


刹那は白い壁に囲まれた四角い部屋に独り残された。

 もう一度あたりを見まわしてみたが、白で統一された部屋は

 なぜだか異質な感じがする。

 『ここはどこの病院なのだろう・・・』

 刹那は漠然と考えながら、ハッと気がついた。

 『窓がない。』

 この白い病室には窓がなかった。

 『ここは病院じゃない。』

 刹那は目が覚めてから、ずっと感じていた違和感に気づいて

 不安になった。

 刹那がベッドから起き上がり、腕に刺さっている点滴を

 引き抜こうとした時、扉が開いた。

 「ダメじゃないか。寝ていなさい。」

 グラハムが病室に入ってきた。グラハムは少し怒ったのか

 不機嫌そうに刹那を白いベッドに寝かせつけた。

 「スープを持ってきてあげたよ。飲みなさい。」

 グラハムはステンレス製のワゴンに乗った銀色のお皿から

 半透明に輝く薄茶色の液体を銀色のスプーンですくって

 刹那の口元に持ってきた。

 刹那がおそるおそる口にすると、意外と美味しかった。

 それはコンソメスープだった。刹那は具が入っていない

 コンソメスープを見たのは初めてのような気がした。

 「美味しいかい?3日間何も食べていないからね。

 最初は胃に優しいスープからにしたほうが良いと思って

 特別に作らせたんだ。」

 グラハムはにっこりと微笑んだ。

 「さあ、もっとお飲みなさい。」

 刹那はグラハムの機嫌が直ってほっとした。

 幼子のように口を開け、スープを飲ませてもらっていると

 不思議と先ほどの不安は消えいく。

 まるで雛鳥が親鳥から餌を与えられている時のような

 信頼感が生まれた。

 刹那は幸せだった。

 刹那は幼子のように甘えた目つきで媚びたように口を開き

 スープを飲んだ。

 刹那の腕には点滴の針が刺さっている。

 血管に常に注ぎ込まれるその薬には麻薬にも似た作用がある。

 また、グラハムの持ってきたスープにも同じ薬が入っている

 事を刹那は知らない。

 霧のかかった思考の中で刹那はグラハムだけを見ていた。

 グラハムは満足そうに微笑みながらスープを与えている。

 やがて刹那がスープを飲み終えると、グラハムは

 「今はまだ、ゆっくり寝てなさい。おやすみ。刹那。」

 と言って、刹那の額に口づけし、部屋を出て行った。

 グラハムが立ち去った後、刹那はゆっくりと眠りについた。
 
 テレビも時計もない白い空間には静寂だけが漂っていた。



 「あっ、あ、ああ~」

 密室に刹那の声が響く。

 「気持ち良い?」

 グラハムが指で真珠玉をかき混ぜながら聞いた。

 「ああ、いい、もっと~」

 甘い声をあげる刹那にグラハムは目を細めた。悪夢から

 目覚めた刹那は従順だった。毎日、与えられるスープには

 何も考えられなくなる薬が入っていて、ボーっとした思考の

 中で刹那は快楽だけを追い求めた。体内に入った真珠が

 刹那を責め立てる。2本の指でぐるぐるとかき混ぜるグラハム

 に刹那は懇願した。

 「ああ~、イク~、もうイかせて~」

 「まだダメだよ。」

 グラハムはそう言うと、優しく刹那に触れた。白い紐に

 戒められているそれの先端を指で軽くはじくと蜜を滴らせて

 刹那は嬌声を上げた。縛ってから既に2時間が経過している。

 吐き出す事のできない苦痛に刹那は限界まで昇りつめた。

 ガクガクと身体を震わせ、目から生理的な涙が溢れる。

 「もう解いて。お願い。」

 哀願する刹那にグラハムは意地悪な提案をした。

 「君が卵を産んで見せたら、解いてあげるよ。」

 グラハムは指を引き抜くと、刹那に足を開くように命令した。

 おずおずと刹那は両手で自らの太腿を掴み、グラハムに

 全てを曝け出した。ヒクヒクと動く下の口がぱくっと開いたかと

 思うと、コロコロと白い真珠が飛び出してきた。海亀が産卵する

 ように刹那は涙を流しながら真珠の卵を産んだ。だが、8個

 出したところで止まってしまった。

 「まだ2個残ってるね。10個全部出したら、解いてあげる。

 頑張って出してごらん。」

 刹那は必死で頑張ったが、随分と時間をかけても1個しか

 出なかった。あとの1個は直腸の奥深くに入り込んでしまった

 ようだった。グラハムは涙を流しながら卵を産もうとしている

 刹那にこう言った。

 「まだ1個残っているね。約束だから解いてあげられないよ。」

 そして、刹那の足を大きく抱え上げて、グラハムは刹那の

 身体に身を沈めた。



 涙に濡れる刹那の顔は可愛かった。戒めを解いてあげても

 良かったのだが、悪夢をまだ忘れられずに苦しんでいる刹那

 に苦痛を与える事で開放してあげようとグラハムは考えた。

 そうする事でよりいっそう刹那は自分が何者であるかを忘れ、

 過去の苦しみが夢となり現れる薬の効力が発揮されるのだ。

 刹那は混濁した記憶を打ち消すかのように腰を振り乱して

 喘いでいた。母殺しの罪を忘れようとして、大勢の人を殺めた

 自分に罰を与えるように刹那はかつてサーシェスに抱かれた。

 過去に汚れきった子供ほど洗脳し易い者はいない。罪と罰と

 快楽の味を刹那はすでに知っているのだ。純粋無垢の青年に

 この薬を使ってもあまり効果はない。開通の儀式に血を流し、

 発狂する者もいる。だが、子供の頃から仕込まれた刹那の

 身体は易々とグラハムを受け入れた。三日三晩責められても

 正気を保っている。

 「あっ、ああ~、もうダメ~、解いて。お願い。解いて~」
 
 泣き叫ぶ刹那の口を唇で塞いでグラハムは激しく腰を動かした。

 やがて、グラハムが刹那の中に放つと、刹那は苦悶の表情を

 浮かべてグラハムにしがみついた。ブルブルっと震えたかと

 思うと、シャーッと生温かいものがグラハムの腹を濡らした。

 グラハムは少し驚いて刹那を見ると、刹那は失禁していた。

 苦痛と快楽の中で羞恥に顔を赤らめる刹那にグラハムは

 更なる罰を与える事にした。刹那の失態を写真に撮った。

 そして、紐を解いた後、濡れたシーツの上で何度も犯した。

 刹那を罵り、嘲りながら、激しく強く抱いた。羞恥と快楽に

 苛まれた不浄の堕天使は自尊心を打ち砕かれ、悲鳴を上げ

 ながら何度も果てた。意識が薄れ逝く中で刹那はグラハムを

 愛していると錯覚した。本当に愛している人の名前を忘れて

 しまったのだ。グラハムは洗脳に成功した。もはや刹那は

 グラハムのものとなった。罪と罰と苦痛と快楽と羞恥。

 これは従順な人形に生まれ変わる為の儀式だった。


 
 刹那が拉致監禁されてから1週間が過ぎた。白い部屋に

 閉じ込められた刹那は白い天井を見つめていた。ベッドに

 横になって、何も無い部屋で何もせずに天井を見つめていた。

 刹那はここが何階なのかも知らなかった。窓の無い白い壁は

 外界から刹那を遮断していた。テレビも無く、時計も無く、

 昼と夜の区別もつかない部屋で刹那は白昼夢でも見ている

 ように天井を見つめていた。白い世界に吸い込まれて、

 汚れた自分が浄化されればいいと刹那は思った。グラハム

 に抱かれる為だけに自分が存在するような気がして、刹那は

 自分が何者であるかを忘れていった。ゴゴゴゴゴ・・・奇妙な

 機械音が天井から聞こえてくる。音は次第に大きくなり、

 騒音に変わった。ドカンっと爆弾が落ちたような音が聞こえて、

 グラッと揺れたかと思うと、ドシャッと天井と壁が崩れ落ちた。

 刹那はとっさに布団をかぶって難を逃れたが、布団から顔を

 出すと、刹那の視界には青空が広がった。ベッドから向うの

 建物の片面全部が消えていたのだ。あと1メートル近かったら、

 死んでいたかもしれないと刹那は思った。1週間ぶりに見た

 空は青かった。空には何機ものモビルスーツが戦闘していた。

 刹那はそれを映画のワンシーンでも観るように眺めていた。

 すると、1機の緑色のモビルスーツが全速力で近づいてきて、

 コクピットから人が出てきた。

 「刹那!!無事か?!」

 ロックオンが刹那を救出に来たのだった。

 「大丈夫か?怪我はないか?」

 刹那の肩に手をかけたロックオンの顔が凍りついた。

 ずり落ちた布団の下の刹那は裸だったのだ。



 「何故、服を着ていない。」

 ロックオンが怪訝そうな顔をした。

 「何かされたのか?」

 ロックオンが心配そうに刹那に聞いた。

 「なんでもない。」

 刹那はロックオンの手を振り払って俯いた。しかし、身体中に

 つけられたキスマークは何をされたのか物語っている。

 ロックオンは痩せ細った刹那の身体を抱きしめた。すると、

 「放せ。」

 刹那はロックオンを突き飛ばし、ベッドから飛び起きた。

 ロックオンは刹那の下半身にまでつけられたキスマークに

 困惑して目を伏せた。そして、怒りをあらわにして

 「誰にやられた?まわされたのか?」

 と聞いた。だが、刹那は答えなかった。その時、崩れた反対側

 にある部屋の扉が開いた。グラハムだった。

 「まわすわけないだろう。僕がたっぷりと可愛がってあげたん

 だよ。僕は刹那の望む事をしてあげたんだ。君らにはできない

 方法でね。刹那はもう僕に夢中さ。刹那、おいで。」

 グラハムが呼ぶと、刹那はグラハムの元へ駆けて行った。

 「キサマ、刹那に何をした?!」

 「フフッ・・・知りたいかい?」

 グラハムは不敵な笑みを浮かべた。

 「彼は私の人形になったのだよ。」

 「どういうことだ?」

 「こういうことだよ。」

 グラハムは刹那に口づけをした。刹那は嫌がるふうでもなく

 されるがままになっていた。ロックオンは信じられないものを

 見たという顔をした。

 「刹那から離れろ!!」

 ロックオンは銃を構えた。

 「ムダだよ。」

 グラハムは素早く刹那を盾にして、刹那に銃を渡した。刹那は

 ロックオンに発砲した。ロックオンは咄嗟に避けて撃ち返した。

 射撃の腕が良いせいかグラハムの肩に当たった。

 「チッ!!」

 グラハムは片手で肩を押さえて、後ずさり、ドアから逃げて

 行った。残された刹那は銃を持ったまま呆然としていた。

 ロックオンは無言で刹那から銃を奪い取ると、刹那を担いで、

 ガンダムに乗り込んだ。



 裸で戻った刹那を見て、ソレスタルビーイングの仲間は

 驚いた。何か着るものをとスメラギが言うと、ティエリアが

 自分の着ていたカーデガンを刹那の肩にかけた。そして、

 アレルヤに部屋に連れて行くように言った。ロックオンは

 刹那が裸で監禁されていた事と事情を聞いても何も話さない

 刹那の様子がおかしいと皆に説明した。とりあえず、アレルヤ

 が刹那の世話をする事になった。甲斐甲斐しく世話をする

 アレルヤに刹那は終始無言だった。

 「皆、君を心配していたよ。本当はすぐにでも探し出して

 救出したかったけど、刹那が誘拐されてから、敵の攻撃が

 激しくて、身動きがとれなかったんだ。ガンダムは4機そろって

 ないとダメだね。この1週間で相当のダメージを受けたよ。

 南の島に行くんじゃなかったってスメラギさんは泣くしね。

 ガンダムがあっても操縦できる者がいないんじゃ戦えない。

 敵は戦力を削ぐ為にガンダムマイスターを誘拐したんだと

 思う。刹那がいなくなって刹那一人に今まで随分助けられて

 いたんだなぁって身にしみて分かったよ。刹那を失うのは

 ガンダムを失うのと同じ事なんだなってね。あの基地を攻撃

 したのはロックオンの単独行動だよ。みんなは止めたんだ。

 誘拐された場所から考えて、刹那がいるのは多分あの基地

 だと思うってスメラギさんが推測しただけで、基地の中の

 何処に監禁されているかも分からなかったから、危険だって

 止めたんだけど、ロックオンは一人で飛び出してしまって、

 後から、僕達が追いかけたんだ。刹那は運が良い。あと

 1メートル攻撃がずれていたら、死んでいたよ。ロックオンも

 まさか刹那のいる部屋を破壊するとは思ってなくて撃ったん

 だって。許してあげてね。」

 アレルヤはにっこりと微笑んで刹那の手を握りしめた。だが、

 刹那は虚ろな目をして黙っていた。やや長い沈黙の後、

 刹那はぽつりとつぶやいた。

 「・・・寒い・・・」

 アレルヤがハッとして刹那を見ると、刹那はブルブルと

 震えていた。薬の禁断症状だった。



 薬漬けにされた刹那は薬が抜けるまで部屋に拘束される事に

 なった。刹那は完全な鬱状態に加えて、過敏になり、ちょっと

 した事にも怯えたので、部屋に閉じ込めて、アレルヤが世話を

 する事になった。刹那が帰還してからの3日間、食欲のない

 刹那はスープばかり飲みたがった。何故だか分からないが、

 スープを飲んだ時だけ少し落ち着くように見えた。

 「刹那ってコンソメスープ好きだったっけ?」

 美味しそうにコンソメスープをスプーンですくって口に運ぶ刹那

 にアレルヤは聞いた。すると、刹那は急に表情を曇らせて、

 「別に」

 と答えた。

 「スープ以外も何か食べたほうがいいよ。まだ食欲ない?」

 「・・・」

 「食べたら、熱測ってね。熱はなさそうだけど・・・」

 アレルヤが刹那の額に手を当てると、刹那はビクッとなった。

 「どうした?」

 アレルヤは刹那の顔を覗き込んだ。刹那は赤くなって、

 目をそらし、横を向いた。

 「刹那・・・してあげようか?」

 アレルヤが刹那の耳元で囁いた。

 「パブロフの犬って知ってる?スープを飲んでいる時の

 刹那の顔、すごく卑猥だよ。」

 アレルヤは刹那の下半身をズボンの上からぎゅっと掴んだ。

 刹那は驚いて

 「やめろ!」

 と、叫んだが、アレルヤはやめなかった。それどころか、

 ズボンを脱がせようとした。抵抗する刹那にアレルヤは

 「気持ちいいことをしてあげるだけだよ。心配しないで。」

 と言った。アレルヤの唇が刹那の下半身に触れると刹那は

 大人しくなった。快感が体中を駆け巡る。ソレスタルビーイング

 の仲間とはそういうことはしてはいけないと刹那はずっと

 思っていたのに、今まで一度もこんな事はしなかったのに、

 今になって、何故アレルヤはこんな事をするのだろうと刹那は

 疑問に思った。しかし、アレルヤにペロペロと舐められて、

 刹那の思考は停止し、とうとう声を抑えきれなくなった。

 「あ、はぁ、あぁ、ああ・・・もう、ダメ。」

 あっという間にイキそうになって、刹那は喘いだ。その時、

 突然ドアが開いた。乱れた姿のまま刹那はドアに目をやると、

 そこにはロックオンが立っていた。



 「何してやがる!」

 ロックオンはアレルヤにつかみかかった。

 「誤解だよ。ロックオン。僕は介抱してただけだって。」

 「どこが!嘘をつくなよ。へんな言い訳するなよな。」

 「刹那がまるで媚薬でも飲んだような顔してたからさ。我慢させ

 とくのも気の毒だから、一回ぬいたら楽になると思ってね。

 手伝ってやろうと思ったわけ。」

 「本当なのか・・・」

 「本当だよ。」

 アレルヤはニッコリと笑って言った。

 「でも、僕はもう退散するよ。続きはよろしく。」

 「ま、待てよ。」

 焦るロックオンを置いてアレルヤはにこやかに去って行った。

 残されたロックオンは途方に暮れた。

 「続きったって・・・男同士でどうやればいいんだよ。」

 ボソリと言った言葉を刹那は聞き逃さなかった。

 「帰れよ。嫌なんだろ。さっさと出てけよ。」

 刹那がロックオンを睨みつけて言った。刹那は好きな人に

 みっともない姿を見られた上に拒否されて、胸の奥に何かが

 刺さったように心が痛んだ。

 「刹那・・・」

 ロックオンは何か言おうとしたが、言葉が出ないらしく、しばらく

 黙って立ち尽くしていたが、やがて、ロックオンは意を決して、

 「俺、やるよ。」

 と言った。

 「や、やらなくていいから。」

 刹那は焦って断った。

 「遠慮するなって。」

 ロックオンが顔を近づけてくる。刹那が思わず顔を背けると、

 ロックオンは顎を掴んで正面を向かせた。唇を押し付けられ、

 舌が入ってきた。ロックオンの舌が刹那の舌を吸い上げる。

 舌と舌を絡ませながら、ロックオンの手が刹那の下半身に

 伸びた。

 「あっ、やぁ、やめろっ。」

 軽く掴まれただけで全身に電流が走ったみたいになった。

 身体の中心から湧き上がる快感に刹那は負けて、ブルブルッ

 と震えたかと思うと、ドクドクッと吐き出された白い液体で

 ロックオンの手を汚してしまった。凝視するロックオンの瞳に

 羞恥に顔を赤らめる刹那の姿が映る。ロックオンは濡れた手

 を刹那に見せて

 「気持ち良かった?」

 と聞いた。刹那はあっという間に達してしまった自分を

 恥ずかしく思って、顔を更に赤く染めた。



 ロックオンは刹那の足を大きく広げて、白い液体を小さな窪み

 になすりつけた。指を1本入れて、興味津々という顔つきで

 「痛くない?」

 と聞いてきた。刹那が首を横に振ると、もう1本指を差し入れて

 「痛い?」

 とまた聞いてきた。

 「何本入るかな。3本入りそうな気がするけど・・・

 3本入れていい?」

 指2本だけでいっぱいに広がったそこは3本入れるのは無理

 だった。無理やりねじ込めば3本入るのだが、苦痛を伴う。

 刹那は痛いのは苦手で、首を横に振った。

 「2本がいいの?」

 ロックオンが指を2本入れたまま聞いてきた。刹那は子供の頃

 サーシェスに乱暴に扱われていて、その後に寝た男達にも

 今まで指を何本入れたら良いなんて聞かれた事がなかった

 ので、すごく恥ずかしくなったのだが、刹那は小さな声で

 「うん。」

 と返事をして頷いた。すると、ロックオンはニコッと笑って、

 2本の指を動かした。始めはゆっくりと次第に速く、リズミカル

 にクチュクチュと音をたててロックオンは指を動かした。

 「あ、ああっ、ああ~」

 刹那はロックオンの指のリズムに合わせて腰を動かした。

 喘ぎながら腰を振る刹那に

 「ここ気持ち良いの?」

 と、またロックオンが聞いてきた。良いに決まってるのに何で

 聞くのかと刹那は思った。ロックオンは相変わらずニコニコして

 いる。刹那は何だかバカにされていないか心配になってきた。

 刹那は男を知っている事をソレスタルビーイングの皆に内緒に

 してきた。それが、拉致監禁されて、バレたとたん、アレルヤ

 が口でしてきた。ロックオンに至っては同性愛者でもないのに

 アレルヤに勧められて、こんなことをしている。刹那は別に

 自分が欲望のはけ口になるのはなんともないけれど、こんな

 のは嫌だと思った。刹那は急に悲しくなって涙が出てきた。

 大粒の涙を流す刹那を見て、ロックオンは驚いた。

 「どうしたんだ?」

 刹那は泣きながら

 「もう、やめてくれ。」

 と言った。

 「どうして?さっきまであんなに気持ちよさそうにしてた

 のに・・・何でだよ。」

 ロックオンが少し怒った顔で聞いてきた。刹那は

 「俺のことバカにしてるんだろ。好きでもないのに、ただ

 やりたいだけでやるんなら、いちいち聞くなよ。黙って、

 さっさと突っ込めばいいだろう。」

 「刹那。」

 ロックオンの唇が刹那の唇を塞いだ。噛み付くような荒々しい

 キスに刹那は目を閉じて、これでいいと思った。もう友達には

 戻れない。刹那はロックオンの背中に手をまわした。

 息苦しいほどのキスの後、ロックオンはこう言った。

 「刹那が好きだ。」

 刹那は耳を疑った。目を大きく見開いて、信じられないと

 いった顔の刹那にロックオンは

 「前からずっと好きだった。だけど、俺は男を好きになったのは

 初めてで、どうしていいのか分からなくて、ずっと自分の気持ち

 を隠してたんだ。俺は刹那を弟のように可愛がっていたのに、

 アレルヤにとられるのは嫌なんだ。刹那の喜ぶことは何でも

 してあげるから、いちいち聞くなって言うのなら聞かないから、

 だから、泣くなよ。お願いだ。刹那。」

 ロックオンの瞳には偽りも欲望も映っていなかった。ただ、

 優しさだけが真実の愛を映し出していた。刹那はロックオンが

 ニコニコしていたわけが分かったような気がした。刹那は再び

 ロックオンの首に手をまわすと、

 「入れて。」

 と、囁いた。



 大きくて熱いものが刹那の中に入ってくる。指で慣らされて

 既に柔らかくなったそこは苦もなく恋焦がれた人のものを

 受け入れた。ロックオンは刹那の肉の感触を味わうように

 内壁をこすりあげた。

 「あ、あああ~」

 いいところを突かれて刹那は嬌声をあげて喜んだ。ロックオン

 は刹那の足を肩に担いで胸の突起を指で軽く摘んだ。

 「あっ、あぁ~」

 「胸感じるの?あ、聞いちゃいけないんだっけ?」

 ロックオンがクスッと笑って言った。

 「意地悪。」

 刹那は拗ねたように言った。これまでにも羞恥心を煽る為に

 いろいろと聞いてくる男はいたが、ロックオンは天然だった。

 天性の明るさで喋り続けるのだ。ロックオンは両手でしつこく

 刹那の両の胸を弄っていた。快楽に弱い刹那は挿入したまま

 胸を弄られるのが苦手だった。快楽の波に呑まれた刹那は

 無意識に腰を振り乱して喘いだ。

 「刹那は淫乱だね。」

 先端からトロトロと蜜を滴らせている刹那を握りしめて、

 ロックオンは言った。そして、親指で先端から溢れる蜜を

 掻き出し始めた。

 「いっ、いや、やめっ!」

 痛みを伴う快楽に刹那は焦って抵抗した。

 「じゃ、自分でやってみせて。」

 ロックオンが刹那の手を下半身に持っていこうとする。

 「い、いやだっ!」

 顔を真っ赤にして抵抗する刹那にロックオンは

 「可愛いね。」

 と言って、口づけした。唾液が糸を引くほどの濃厚なキスを

 しながら、ロックオンは激しく腰を動かした。身体の奥まで

 深く貫かれ、欲望でいっぱいに満たされ、刹那は幸せだった。

 蕩けるように熱い身体は貪欲に吸い付き、無意識のうちに

 ロックオンを味わっていた。締め付けるたびに脈打つ感触が

 刹那を至福の喜びへと誘う。強く激しく深く愛されて刹那は

 絶頂を迎えた。頭の中が真っ白になって、刹那が絶頂の

 余韻に浸っていると、ロックオンはベッドから起き上がり、

 ティッシュを探した。

 「ティッシュ、どこかな。あ、あった。」

 ロックオンが無造作にティッシュで刹那の中からトロリと

 出てきた白い液体を拭いた。

 「いっぱい出しちゃってごめん。」

 「謝る事ないだろ。女じゃないんだから。」

 刹那が無愛想に言うと、ロックオンは

 「あ、そっか。」

 と笑った。あまりの無神経さに刹那はムッとしたが、ロックオン

 はニコニコとお腹についた白い液もティッシュで拭いていた。

 「刹那、俺のこと好きか?」

 ロックオンが不意に聞いてきた。好きに決まっているのだが、

 刹那は答えなかった。

 「嫌いか?俺は好きって告白したけど、刹那はどうなんだよ。」

 ロックオンが急に心配そうな顔で聞いてきた。ロックオンは

 刹那に片想いされていたことに気付いていなかったのだ。

 刹那は少し考えて、

 「嫌いじゃないよ。」

 とそっけなく答えた。

 「良かった。じゃ、俺と付き合ってくれるよな。俺だけのものに

 なってくれ。」

 「考えとく。」

 刹那は答えた。出会った時からロックオンに心奪われていた

 刹那は初めからロックオンのものだった。拉致監禁された

 1週間を除いて、刹那は誰とも寝ていない。太陽のように

 眩しく明るいロックオンに出会ってからの刹那は不浄である

 自分を隠し、乙女のように清らかな生活を送っていた。

 恋するが故に身も心もロックオンに捧げていたのである。

 だが、刹那は愛を告白する術を知らなかった。自分の気持ち

 を言葉で相手に伝える事のできない刹那は黙ってロックオンに

 キスをした。小鳥が啄ばむような軽いキスに親愛を込めて、

 子猫がじゃれるように恋人に絡みつき、宝物を手に入れた少年

 のように刹那は目を輝かせて、ロックオンを見つめた。

 ロックオンの瞳には刹那の笑顔が映っていた。


                              (完)



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